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YouTuberラファエルさん 「努力は大切。でも実績がすべて」変化の激しいネットの時代で勝ち残るための本

文:吉野太一郎 写真:山田秀隆

ラファエルさんの「はたらく」を考える本

1. 『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』上・下(マイケル・サンデル、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
2. 『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』(マイケル・サンデル、早川書房)
3. 『それをお金で買いますか――市場主義の限界』(同)
4. 『とっさのしぐさで本音を見抜く』(トルステン・ハーフェナー、サンマーク出版)

――徹底的に無駄な時間を削る、海外ドラマすら見ない、効率重視で野菜も食べずサプリで済ますと書いてありましたが、読書には時間を割くそうですね

 テレビ見ないし、携帯でYahooニュース見るくらいなんで、インプットしないと引き出しがなくなってくる。本の内容を10~15分に要約して、音声でも文字でも読めるアプリに入っているものは、1時間で長い本が4冊読めたことになるんで、車や新幹線で移動中に聴いてますね。最近の興味関心では、マクロ経済の基礎知識の本や、FXに関する本なんかも結構読みました。

――やっぱり動画のアウトプットにもつながってきますか?

 それは、やっぱり大きいです。YouTubeでは基本、喋らないけど、新型コロナウィルスや5Gのことを全く知らないわけにはいかないじゃないですか。僕のYouTubeは、視聴者さんがサラリーマンの方とか、極端に大人が多いんですね。大企業の会長とか社長とかと会食することも多いんで、そういった方々と話をするときにも、すごくためになりますね。

努力は大切、でも評価は実績がすべて

1. 『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』
2. 『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』
3. 『それをお金で買いますか――市場主義の限界』

 もともと民間企業で営業をしながら、YouTubeを始めるか始めないかという頃、NHKでハーバード大学の有名な教授の講義を放送しているのをたまたま見たんですね。本でもいちばん最初に出てくる、有名な暴走列車のエピソードをやっていたんです。

 ブレーキが効かず猛スピードで走る路面電車の運転士になったつもりで、目の前に5人の作業員がいる。右に目をやると待避線があって1人だけ作業員がいる。ハンドルを自分から切って1人を殺すか、自分は手を下さず結果的に5人を殺すか。正解はないんですけど、ハーバードの学生がすごい言い合うんですよ。普段NHKも海外ドラマも見ないんですけど、引き込まれてNetFlixの連ドラみたいにずっと見ちゃったんですね。本も買いました。

 シリーズには努力をどこまで評価するかという議論もあります。報酬や入試、あるいは税の使い道は、努力に応じて決められるべきか、あるいは貢献度(実績)か。学生たちももめにもめるんですけど、ものすごい努力でここまできたハーバード大学の学生たちが全員、何も言い返せなくなる瞬間があったんです。それがもう、めちゃくちゃ気持ちよくて。

 僕も天才ではないですし、人より努力して実績を積んだから、当時は努力は認めるべきだと思ってて、部下の評価も、例えば遅くまで仕事している人は評価してました。でもそういうのは評価に値しないって、一発で考えを変えさせられました。冷たく言うと実績がすべて。部下への指導や周りの人に対する接し方も、自分の今後進むべき道を考える上でも、本当に変わりました。

自分のことをどれだけ知っているかが大切

4. 『とっさのしぐさで本音を見抜く』(トルステン・ハーフェナー、サンマーク出版)

 これは今、たまたま興味があって読んでいる本です。こないだもメンタリストDaiGoさんのチャンネルでババ抜きをやったんですけど、僕がジョーカーを引かせたんですね。百戦錬磨のDaiGoさんから「今まで僕にジョーカーを引かせたのは、ローラさんとラファエルさんぐらいだ」と言われました。

 心理学に強い人って営業も強いと僕は思ってて。僕は他人を「取説が薄い人」「分厚い人」って表現することがあるんですけど、「あの人大変だよ」って言われて嫌われている人を、攻略するのがすごい得意だったんです。実はそういう人って、僕に言わせれば取説が薄い。「ラファエルさんだけですよ、あの人と飯行けるの」ってよく言われました。

 自分のことを知ることができるというのも大きいですね。「ジョハリの窓」って言うんですけど、十字に仕切られた正方形の部屋が4つあって、僕から見える部屋と、他人から見える部屋、誰にも見えない部屋がある。「あの人ってこうだよね」って言われてるのに自分で気づいてないパターンの人って、結構いるじゃないですか。いわゆる勘違い野郎って奴ですね。ここを自分の中でなるべく狭くしたいんですよ。

――けっこう繊細で、いろんなことを気にしてるんですね

 そうですね、いわゆるアンチに何を言われても気にしないんですけど、自分のことをわかっていないのは、自分の目標にすごいダメージを与えると思ってます。

貧しかった幼少期「変わり者になった」

――幼少期の貧しい暮らしや両親の離婚、死に別れなどの生い立ちを、2019年9月に出た初の著書『無一文からのドリーム』(宝島社)で語っています。あえてさらけ出そうと思ったのはなぜですか?

 「モデルプレス」運営会社の松下佳憲社長とお話させてもらったときに、僕がYouTubeをどうやって始めたのか、という話になって、生い立ちの話をしたら、「それってすごい壮絶ですね。それなかなかいないです。本にした方がよくないですか」って言われたんです。

 ラファエルってキャラは、InstagramもYouTubeも、作り上げられた存在しないキャラクターなんで、実際の僕とはかなり開きがある。もう5年もやってるんで、本当の僕をもうちょっと出していってもいいんじゃないか、というのもありました。営業するときの名刺代わりにもなりますし。

――動画ではチャラくて鬼畜なキャラを強調していますが、実際に話してみると、意外に真面目なんですね

 よく言われます。どうしてもキャラがキャラなんで、会食を何回も何回も重ねないと、人柄が伝わりにくい。生い立ちも、わざわざ自分で言うような話ではないんですけど、「努力して頑張ったんだね」って思ってもらえて、第一印象からいい場合があって、距離が詰まるのが早くなります。

――酒乱で借金を抱え離婚したという、お父さんのエピソードが描かれていました。最期はホームレス同然で亡くなり「お金のない悲しさを思い知った」そうですが、今の生き方に影響を与えたと思いますか?

 まあ、人よりはちょっと不遇かもしれないですけど、幼稚園の頃なんで。小学校、中学校の時だったら、後から振り返ってためになったと思うこともあるんでしょうけど。でも、それがきっかけで変わり者になったと思うんですよね。具体的には説明できないけど、変わり者だから、エンタメでネタを作るとか、この仕事が跳ねたのかもしれない。

 それが普通だとずっと思ってたんで。自衛隊に入って、厳しい状況に置かれても、あまり大変だと思わなかったんですよ。それ以上の経験があったからなのか。自衛隊のときもサラリーマンのときも、良くも悪くも変わり者だったのがよかったのかな。

――「フェラーリを買いたい」というのがYouTubeを始めた動機だったそうですが、自衛隊員も営業社員も、どれもとても順調だったそうなので、そのまま続けていてもフェラーリでも買えたのでは?

 自衛隊では上司に「トークが面白い」「歩合制の方が向いてんじゃないか」って結構言われるようになってたんですね。自衛隊も素晴らしい仕事なんだけど、当時は「年功序列の公務員は嫌だ。もっと自分が評価されるところに行きたい」と思った。そのときの「評価」ってのはお金だったりもするんですけど。

 で、民間企業の営業職に転身したんですけど、次も余裕が出てきちゃう。実績はずっと出てるけど、つまらなくなったんでしょうね、多分。サラリーマンではどんだけ実績行ってても稼ぎはたかが知れてるんで、フェラーリに今すぐ乗りたいとなったら、もっと稼がないといけないんで、いろいろ副業を探してました。でも元金はあまりないし出したくないし、ってことでYouTubeに出会った感じです。

――ちょうどいいタイミングでYouTubeの波が来たわけですね

 そうですね。その時はもうかる仕事がないか、ビンビンにアンテナ張ってたんで。YouTubeは2014年に僕が始めた当時はまだ、日本でトップクラスのYouTuberでもチャンネル登録者数が20万人ぐらい。ネタ動画も主流じゃなかったし、完全に未開拓の市場だったんで、そこに狙いを定めて飛び込んだのがよかったですね。

資料を読み込むより先に、カバンを持って会いに行く

――2冊目の本には、YouTubeの細かいノウハウや、営業の時に契約を取った秘訣も、筋トレからご飯の食べ方から、ある意味、自分を成功に導いた内容が書かれています

 そういう局面に来たのかなって感じですね。FXで稼ぎまくった人って、最終的に稼ぐ方法の本を出すじゃないですか。読む頃にはもう遅いんですけど。僕はもう、底辺YouTuberじゃないんで、聞かれても損することじゃないですし。

 それに、自分がやってきたことはある程度、万人に通用すると思ってるので、真似してもらってもうまくやれる。営業をやってた時も、サラリーマンで実績出る方って、だいたい共通することがいくつかあると思うんですね。どこまで努力したらいいのかっていう、一つの目安にもなると思ってるんです。

――寝るな、休むな、負荷かけろ、というノリが出てきたんですけど、これは自衛隊式? ある意味、昭和の根性論っぽいような…

 根性論とか、数字に裏付けされないことは、もちろん僕も嫌いなんですけど、人生のめちゃくちゃ短い間、異常に努力して、後は休みたい。短い間だけ、人の何倍も努力した方が実績出ますし、やりきった方がいいと思うんですね。

 もちろん、寝ますけど、24時間は平等なんで、削れるものはそこしかない。気持ち的にもそれぐらいでないと、実績ってなかなか出ないと思うんですよね。僕は高校も定時制ですし、能力もそんなに高くない。国際金融で何億円も動かすような特殊能力の仕事って、本当に一部じゃないですか。企業で車を売るぐらいの仕事だったら、努力でなんとでもなると思ってるんですよ。

――その端的な例が、案件があったら資料を読み込むより先にカバン持って会いに行くという「秒で動け」ですか?

 そうですね、いきなり体ひとつでパッと行く。その積み重ね。慣れてきてスキルが上がってくれば、移動中にいろんなことをインプットしながら行けますし。いつしか「あの人天才だ」なんて言われるぐらいになってるんでしょうけど、実績出てる営業マンってみんな、もともとはすごい努力の塊でしかないと思うんです。

 僕は動くのが早い、それで成功するタイプ。もちろん不動産みたいに何億、何千万とするものは、いきなり元気な営業マンが来たって難しいかもしれない。けど、それが突き抜けてたら、そんな雑な動き方してても、地球上の物理とか科学では説明できないような、伝わるものも必ずあると思うんです。

――YouTubeを始めネットの世界は本当に変化が激しいから、「秒で動け」っていうのは切実な対処法かもしれませんね

 去年1月にYouTubeの規約違反だとして、チャンネルごとBAN(アカウント停止)されて過去の動画も削除されたときは、とにかく急いで謝罪動画をアップしました。クレームに速攻で対応するっていうのは鉄則ですけど、「気にしてない、ひるんでない」って大げさに見せなきゃ、なめられちゃう。ファンの方がガッカリしちゃいますし、スピードが必要でしたね。おかげでネットの風向きも変わって僕への同情的な見方も広がりましたし、何よりラファエルの名前が知られて、それまで縁が無かった企業の方から多く声をかけて頂くようになりました。

――即断即決、秒で動く中で、しまった、失敗だったと思ったことは?

 もちろん。そういうタイプが嫌いな人って、世の中にはいるんで、それはもう、どうしようもない。少なくとも、僕が営業をしていた会社、さらにはYouTubeでは実績が出たんで、それで間違ってなかったのかなと思うんです。

YouTubeに何の未練もない

――今の人生の目標は?

 何もしたくない。ゆっくりしたいですね。今日も明日も明後日も、朝起きたらジムに行ったりとか、どっか好きな人と旅行行ったりとか、そういう生活がしたい。ちょっと子供っぽい夢なのかもしれないですね。

――先日の動画で、YouTubeをやめることに何の未練もないと、友人の人気YouTuber、ヒカルさんに語っていましたけど、続けることにはこだわってない?

 別に未練はないですね。YouTubeは本当にどうでもいい。人気者になりたいとか、そういう承認欲求まったくないんですよね。儲かれば別に何でもいいっていうか。YouTubeの収益は大きすぎるんで。会社だってバイアウトしても20億~30億ぐらいで、3人でやってたら税金取られて、手もとに残るのは6億ぐらい。それってYouTube1年で稼げる金じゃんって思いますし、捨てるのって、もったいなくないですか?

――ということは年収5~6億?

 YouTubeも再生回数に応じて分配される広告収入だけじゃなくて、企業のタイアップ案件で独自に入る広告収入と、YouTubeチャンネルのコンサル業も含めたらそのぐらいになりますね。月に2回、僕が会議に出るだけですけど、単価がデカいんで。僕のYouTubeのチームは3人で動いてますけど、異常な知識がありますから、本当に僕しかできないことです。

――今、目標までの達成度って何パーセントぐらいですか?

 今やめてもいいんですけど、まだあと何十年生きるんで、もっと贅沢したいんだったら、もうちょっとやってもいいかなと。ステーキで言ったら、肉を食べる前にブロッコリーを食べてる段階。でも僕が現場にいないと一気に収益がゼロ円に近くなっちゃうんですね。最近、動画で2代目オーディションやりましたけど、結構本気ではあったんです。本当にいい人が来たら譲りたかったんですけど、なかなか出会えなかった。なかなか辞めるに辞められなくなってるんですよね。