夏の風物詩、高校野球と甲子園にまつわる3冊(ノンフィクション作家・後藤正治)
2000年代半ばに無類の強さを発揮した北海道・駒大苫小牧高の香田誉士史(こうだよしふみ)監督を描いた人物ノンフィクション『勝ち過ぎた監督』(中村計)など。高校野球と甲子園にまつわるノンフィクションや「一〇〇年史」関連図書を読んで、印象に残った3冊を後藤正治さんが紹介します。
>【ひもとく】高校野球100回目の夏 激闘支える光と影の真実
須賀しのぶ「夏空白花(なつぞらはっか)」
夏の高校野球の戦後の復活劇を描いた小説。「戦時中に『敵国のスポーツ』と見なされ、どん底まで落ちた野球。どれだけ多くの人が思いを込めて、それを復活させたのか、書き残したかった」と須賀さんは語ります。出版記念トークショーで「高校野球とは?」と聞かれた彼女の答えとは。
>【作家LIVE】困難な時代、高校野球は輝く 須賀しのぶさん
江本孟紀「高校野球が10倍おもしろくなる本」
阪神などプロ11年で通算113勝したプロ野球解説者・江本孟紀さんによる、球児と関係者、観戦者に贈る提言書。投球数制限やリーグ戦の導入、炎天下を避けるスケジュールなど近年議論になっているトピックを取り上げています。
>江本孟紀さん「高校野球が10倍おもしろくなる本」インタビュー 安易な投球数制限に苦言
田崎健太「ドラガイ」
「ドラフト外」=ドラガイと呼ばれた選手たちのドキュメント。選手一人ひとりの幼少期の環境から試合の記録までをつぶさに取材しています。期待をされていない、気づかれていない。それでも唯一無二の存在になった男たちの生き方や言葉に勇気をもらえます。
高橋秀実「『弱くても勝てます』開成高校野球部のセオリー」
経験者が少なく、グラウンド練習は週1回3時間という悪条件のなか、「超進学校」の野球部はどう戦うのか。2005年、東東京大会でベスト16まで勝ち進んだ監督と選手たちは、「理屈っぽい」開成校生の特長を生かし、相手の意表を突く作戦を考え、無駄のない練習方法を編み出します。スポーツ以外にも役立ちそうな発想が光ります。
>【書評】『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』 実験重ねるラブリーなチーム
西餅「僕はまだ野球を知らない」
大の野球好きだけど運動オンチな物理教師が、弱小野球部の監督に!? 他校の監督を休日にストーキングして性格分析したり、グラウンドに金属探知機を埋め込んで、スパイク金具の動きから守備データを取るシステムを構築したり。変態の域に達しているデータオタクぶりを生かしてチームを強化、甲子園をめざします。
>【コミック・セレクト】西餅「僕はまだ野球を知らない」 データオタクが弱小チームの監督に
【番外編1】高校球児だった俳優・岡田健史さんインタビュー
動画配信サービスFODでスタートしたドラマ「いとしのニーナ」(原作:いくえみ綾)で主演を務める岡田健史さん。実は小学生のころから野球に打ち込み、高校は特待生として強豪校に入学しています。「実家にはノムさんの本ばっかり」という岡田さんに、愛読書を聞きました。
>いくえみ綾「いとしのニーナ」が、岡田健史さん主演でドラマに 拉致から始まるラブストーリー
【番外編2】桐蔭学園の野球部だった作家・早見和真さんのエッセー
2008年に『ひゃくはち』で作家デビューし、『イノセント・デイズ』『店長がバカすぎて』などの著書で知られる早見和真さん。在学中に甲子園に二度出るような「超」名門校で野球をしていた高校時代、読んだ本はたったの一冊。その本とは? 本を読むという「発想さえなかった」早見さんがその本を読もうと思った理由とは?