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いくえみ綾「いとしのニーナ」が、岡田健史さん主演でドラマに 拉致から始まるラブストーリー

文:根津香菜子、写真:篠塚ようこ

物語の質感を分かりやすく、軽く

――原作は「Webスピカ」(幻冬舎コミックス)で2005年から約5年にわたって不定期に連載されていた作品ですが、読んだ感想を教えてください。

 今回、原作は一回しか読んでいないんです。原作を読み込んでその世界観を忠実に再現するよりも、ドラマでは台本に描かれている中で自分が感じたことや、厚志とニーナ、マサや牛島との関係性の矢印を表出させる方がいいなと思ったんです。もっと言うと、漫画の世界観と実写化の世界観が必ずしも同じでなければいけないと思わなかったので、原作は一回読んで、あとは台本を意識するように、と割り切って考えました。

 この作品が10年くらい前に描かれたものだということを知らずに拝見したのですが、時を経ても全く風化していないと感じました。僕、正直に申しますと、いくえみさんの作品は『いとしのニーナ』しか読んだことがないのですが、絵のタッチも含めて「少女漫画」という印象を持たなかったです。読み終わってから「あ、少女漫画だったんだ」と改めて再確認するくらい、男性でも興味深い要素がたくさん含まれていました。

――「ヘタレでダメダメ男子」と言われる厚志ですが、岡田さんはどんな人物と捉えて役作りをしたのでしょうか?

 この作品は女子高生を拉致するという、性犯罪のような入り口から始まる物語なんですけど、監督とも話し合って、ドラマでは重たい感じにはしたくないということがスタッフの共通認識としてありました。その質感を分かりやすく「軽く」できるのは、厚志というキャラクターだけだと思ったんです。他の登場人物はどの役も性質が違うので、僕にその役目があるなと思いました。

 厚志は自分の感情に対して正直なので「にぎやかな人」というのが第一印象です。他人からすると「ヘタレ」と言われるところもあるかもしれませんが、撮影していく中で、厚志は自分の悪いところや目を伏せたくなるような弱いところに向き合って、それと戦える男の子だと感じました。そういう風に自分のことを考えられる厚志って、実は強い人間なんじゃないかと思うようになりましたね。

 役作りは特にしていなくて「厚志がどういう人間なのか」を探りながら撮影をしていました。クランクインする前に強いて考えていたことは、例えば、僕が朝ごはんを食べていて「これ美味しいな」と思った時、厚志だったら「これを食べたらニーナはどんな顔をするんだろうな」とか、空を見上げて「僕はこう思うけど、ニーナだったらどう思うのかな?」ということでした。それくらい、厚志の日常や頭の中は、きっとニーナ一色なんだろうなと思ったんです。

――惚れた弱みでニーナに振り回される厚志ですが、堀田さんが演じるニーナの印象はいかがですか?

 一言でいうと「あざとい」ですね(笑)。でも決して、堀田さんがそれを狙って演じているわけではないんです。ニーナは「使える武器は使いますよ」っていう女の子なので、厚志がニーナに対してグッとくるところは、僕も男として同じように感じるところがあったので演じやすかったです。

 厚志もマサも、ニーナへの好意の入り口としては「外見がかわいい」ということなのですが、厚志にはないものがニーナにあったからこそ惹かれたんだと思うし「彼女が僕にこう言ってくれたから」というような文学的要素は頭に入れずに、厚志が本能でニーナを好きになったという思いを100%出すことに意識を向けました。

©フジテレビ

実家にはノムさんの本ばっかり

――小学生のころから野球に打ち込み、高校は特待生として強豪校に入学した岡田さんですが、その頃に本を読む大切さに気づいたそうですね。何かきっかけがあったのでしょうか?

 幼い頃から、ずっと父親に「本を読め」と言われていました。でも、当時は本を読む必要がないと思っていたので、ほとんど読んでいなかったんです。人って物事の大切さとか重要さに自分自身が気づかないと、そのための行動に至ったり、考え方を変えたりしないと思うんです。「本を読もう」と思ったきっかけは忘れてしまいましたが、多分その時の僕の身体が「本」を欲したんでしょうね。知識や教養をもっと欲しいと思ったから、色々な本を手に取ったんじゃないかと思います。

 高校生の時によく読んでいたのは、宮本武蔵の『五輪書』や、野村克也さんの本です。野村さんはテスト生からはい上がって、あそこまで活躍するプロ選手になったんですが、本には「野球哲学」みたいなことが色々と書いてあって、僕も野球に打ち込んでいた学生時代、色んな壁にぶつかったことがあった時の励みにもなっていました。なので、僕の実家にはノムさんの本ばっかりあるんですよ。

 『五輪書』も、確か野村さんの著書の中に「兵法と野球は通じるものがある」というようなことが書かれてあったので、読んでみたいなと思い父親に買ってもらいました。「一をもって万を知る」とか、言われてみたら腑に落ちる言葉がたくさん書いてあって「そういう考え方があるのか」と勉強になりました。何百年前の人が考えていたことを、今自分が手に取って読むことが出来るってすごいですよね。僕も自分が生まれる前の作品に感銘を受けることがよくあるので、そんな風に長い間伝わり続ける作品を作りたいという思いが根源にあります。

――岡田さんが読書から得るものって何でしょう?

 知識や教養、考え方です。人はどうしたって主観で物事を見てしまうじゃないですか。でも、本を開けばそれを書いた人や、その人に影響を与えた考え方がたくさん載っていて、自分だけでは思いつかないような価値観に気づくことが出来ます。それを俳優の仕事で例えるなら、台本を読むときに自分以外の役の気持ちや立場を考えようとしても、どうしても自分の役の目線で物事を追ってしまうんですが、そんな時は、監督やスタッフの皆さんが意見を出して、僕を厚志に導いてくれるんです。野球も同じで、チームのメンバーはもちろん、選ばれなかったメンバーや監督など、色々な人の意見や考え方があってこそ、一丸となって前に進める。野球も役者も一人ではできないことなので、人の意見を聞くことの大切さを本から学んだ気がします。

スタイリスト:藤長祥平、ヘアメイク:KOHEY  UMBER/STUDIO FABWORK 03-6438-9575、WEWILL 03-6264-4445、BUTTERO TOKYO 03-5766-1718

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