美術館勤務やキュレーターの経験から、『楽園のカンヴァス』『リーチ先生』などアートをテーマにした作品で知られる作家の原田マハさん。一方、その繊細な筆致で引きこもりの青年の心の成長を描いたのが、小説『生きるぼくら』(徳間文庫)です。
学校でのいじめが原因で引きこもりになった、24歳の青年・麻生人生(あそう・じんせい)。ある日、一緒に暮らしていた母親が姿を消し、4年ぶりに外に出ることを決意します。頼りになるのは1枚の年賀状。「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」。それは長野の蓼科に住む祖母「マーサばあちゃん」からでした。
蓼科では想定外の事態が待ち受けていますが、人生はマーサばあちゃんが大事にしている米作りに挑戦することにします。助けてくれる仲間との出会いや、そのぬくもりに触れて、変化していく人生の心――。作中、収穫した米を炊き、「ほっこりと握る」おにぎりの描写もみどころ。稲が豊かに実る季節に読みたい一冊です。
『生きるぼくら』が発行部数20万部を突破したことを記念して、同じく原田マハさんの熱血お仕事小説『本日は、お日柄もよく』と2冊セットでメルマガ読者5人にプレゼントします(応募にはメルマガの登録が必要です。応募フォームから登録できます)。締め切りは2020年8月28日正午まで。