10月9日は「道具の日」だったそうです。調理道具の専門店街、東京・浅草のかっぱ橋道具街の東京合羽橋商店街振興組合が「どう(10)ぐ(9)」の語呂合わせにちなんで制定したとのこと。調理道具は凝り始めるといろいろと集めたくなるものですが、同じように蒐集家魂を刺激する道具を集めた図鑑を見つけました。
その名も「世界 魔法道具の大図鑑」。本書の舞台は蒐集家であるマラクルーナ氏の魔法道具コレクションを収蔵する屋敷で、読者が屋敷の中を巡っていくという仕立てになっています。館は地下室と屋根裏部屋付きの二階建て。書斎から始まり屋根裏部屋に至るまで、古今東西の物語に登場する不思議な魔法道具、210アイテムがずらりと並んでいます。そのコレクションは「ギリシア神話」や「イソップ寓話」などの古典から、「指輪物語」や「ハリー・ポッター」シリーズなどのファンタジー小説まで、200冊以上の物語に出てくる魔法道具を新旧幅広く網羅(特集「クトゥルー神話の豊潤なる世界」が好評のクトゥルー神話の魔法道具も!)。靴やマントは玄関に、すりこ木や鍋はキッチンにといった具合に、それぞれの魔法道具がふさわしい場所に置かれているのも見ていて楽しく、知っている魔法道具を探してみたくなります。
道具の中には、マラクルーナ氏がどのようにして手に入れたかのエピソードが添えられているものも。日本の元祖ヒーローものの一つ「黄金バット」に登場するアトランティスのシルバーバトンは、東京の魚市場で買い上げたマグロの腹から見つけだしたんだとか。思わずその様子を想像してしまいました。
個人的に気になったアイテムは、本書の著者の一人であるイタリアの作家、ピエルドメニコ・バッカラリオによる「閃光の工房」シリーズ(日本語訳未刊)の「14ヵ月のスケジュール帳」。ただ1年が14ヵ月になるということではなさそうで、詳細を読んでみたいところです。いいことだらけではないところも魔法道具の魅力の一つかもしれません。
気になる道具を見つけたら、巻末の所蔵品&物語リストをたよりに、まだ知らぬ物語の世界へと旅立ってみるのも一興です。