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バービーさん「本音の置き場所」インタビュー 自分のため、誰かのため

バービーさん=小山幸佑撮影

 男女の恋愛模様をコントにし、「イエス、フォーリンラブ」の決めぜりふで人気になったお笑いコンビの一人。初の著書は、日頃の実感を包み隠さず、つづったエッセー集だ。鋭い観察眼で気になることを捉え、時にユーモラスに。「自分のために吐き出した本音が、誰かのためになっているならうれしい」

 テーマはバラエティー番組といじりの問題、生まれ育った北海道栗山町から考える地方創生など多岐にわたる。中でもジェンダーに関するテーマが「一番書きたいもので、熱量を込めた」。第1章のタイトルは「料理は好き。でも『男の胃袋』を摑(つか)んでたまるか」。女性に料理を強要したり、料理を交際、結婚の判断にしたりすることへの違和感を記した。また、自身の経験を紹介しながら、性行為の前に互いの同意を確認する「性的同意」に思いをめぐらせた。「意思表示をすることに悩む人は多いけど、大切なこと。私が発信することで背中を押せたら」

 画一的な美の基準から自由になってありのままの自分の体を受け入れる「ボディー・ポジティブ」を大切にしている。この考えを元に、メーカーとコラボしている下着づくりについても書いた。体が大きい人向けのブラジャーは種類が少なく、自身も無理をしてあざができた経験があった。「太っていたって、自分で自分の体が好きだと言いたい」。自ら下着メーカーに企画を持ち込み、プロデュースした。多くのファンから「口に出せない悩みだった」と感謝され、好評だ。

 女性には「女らしさ」に関わる生きづらさがある一方で、男性にも経済力や肩書を比べてしまうなど「男らしさ」の“呪縛”が同様にあると思っている。「男女が互いの生きづらさを理解し合い、一人ひとりが声を上げることができれば」(文・宮田裕介 写真・小山幸佑)=朝日新聞2020年12月12日掲載