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「やばいデジタル “現実”が飲み込まれる日」 膨大なデータ 無秩序な利用は危ない

 近くのおいしいレストランはスマホですぐに検索できるし、「映える」料理の写真をSNSに掲載すればたくさんの友人から共感が集まる。

 これらのサービスで私たちが知らず知らず送受信しているデータは膨大な量で、それを使えば精巧なデジタルツイン(デジタル上の自分の分身)を作ることも可能だ。本書の実験では、グーグルに蓄積されていた検索履歴・位置情報・写真の3点だけを使って被験者の住所氏名、職業や趣味などをほぼ正確に推定することに成功。そればかりか、被験者本人が忘れかけていた昔の恋人との交際歴と別れの原因までも当ててしまうのだ。

 デジタルが本人の潜在下にある意識まで引き出してしまうのは良くも悪くも、「やばい」。デジタルツインで本人の意向を再現できるようになれば認知能力が衰えた人でも、自ら望む財産管理や終末治療を受けられるようになるかもしれない。一方で、本人の意向に沿って記事を紹介するSNSのアルゴリズムに誘われるようにして自殺に至ってしまった英国の少女の例もあり、無秩序な技術の利用には危険もつきまとう。私たちには、膨大なデータとの付き合い方が問われている。=朝日新聞2020年12月19日掲載

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