「植物のいのち」
エネルギーは自給自足、動かない、切ってもまた生えてくる。動物にはまねできない植物の生命のしくみを専門家がやさしく解説。養分の奪い合いを避けるために自ら行う個体数制限や、窒素が少ない土で生き延びるための菌との共生など、したたかな生存戦略は人類の未来を考える上でも示唆的。
★田中修著 中公新書・９４６円
「お寺の日本地図」
ジャーナリストにして住職の著者は、日本の寺は「歴史の証言者」であり「地域コミュニティの核」であり、「日本人の原風景」だという。約７万７千に及ぶ日本の寺から４７都道府県それぞれについて一つ選び、すべてに足を運んで、来し方や地域との関わりを丹念に解説している。
★鵜飼秀徳著 文春新書・１１００円
「新・人間関係のルール」
ストレスになるが、生きる活力にもなる人間関係。コロナ禍で、新たな時代が到来している。マスクを着用した会話で人類は進化するのか、切り上げるタイミングが難しいリモート飲み会を終わらせるには――。様々なエピソードから導き出された著者独特の教訓がクスッと笑える。
★辛酸なめ子著 光文社新書・８５８円
「ゴミ清掃芸人の働き方解釈」
ゴミ清掃員とお笑い芸人を兼業する著者が、自身のダブルワークの経験や先輩芸人たちの金言を踏まえながら、「働く」ということについての考え方や、偶然の出会いから価値を見いだす「セレンディピティ」の大切さについて語る。
★滝沢秀一著、田中茂朗インタビュー・編 インターナショナル新書・８５８円
「理系女性の人生設計ガイド」
女子中高生や大学生向けに、理系の大学選び、研究と学び方、研究職の仕事とプライベートはどうなる？などを紹介。東北大副学長の大隅氏と東大教授の大島氏の対談（聞き手・日刊工業新聞社論説委員の山本氏）もヒントに富む。
★大隅典子、大島まり、山本佳世子著 講談社ブルーバックス・１１００円＝朝日新聞2021年6月19日掲載
