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退職後の開業詳細に伝える「新聞記者、本屋になる」など注目の新書5選

「新聞記者、本屋になる」

 全国紙のスポーツ記者、論説委員をしていた著者は、定年目前で退職し、東京都内で本屋を始めた。売れ筋ではなく賞味期限が長い本にこだわる。読書家ではないという著者が、どうやって開業に至ったのか。物件探しやリノベーション、本の仕入れ方法、資金繰りなどを詳しく明かす。
★落合博著 光文社新書・1034円

「インド洋」

 2019年、日本列島に猛暑と暖冬をもたらしたのは、インド洋で起きた海洋変動だった。化学海洋学が専門の東京大名誉教授による「日本海」「太平洋」に続く3作目。自ら潜航調査で初の海底温泉を発見したときの様子も交え、大海の不思議と、人々の生活や歴史を結びつけて描いた。
★蒲生(がもう)俊敬著 講談社ブルーバックス・1100円

「物語 イスタンブールの歴史」

 ギリシャの植民都市ビュザンティオン、ビザンツ帝国の帝都コンスタンティノポリス、オスマン帝国の帝都イスタンブール。東西文化の交差点に位置し、さまざまな名で呼ばれた世界帝都の歴史をひもとく時間旅行。著者はトルコのノーベル賞作家オルハン・パムクの訳者。
★宮下遼著 中公新書・1012円

「従順さのどこがいけないのか」

 「政治について怒るべきときに怒らないのは、アリストテレスの言い方をまねれば、その人たちの性格に深刻な欠陥があるのです」。ギリシャ悲劇から「必殺仕置(しおき)人」、歌謡曲「恋の奴隷」まで引きつつ、「精神的奴隷」からの脱却と「不服従の覚悟」を平易に説く。
★将基面貴巳(しょうぎめんたかし)著 ちくまプリマー新書・924円

「俳句のきた道」

 400年の俳句の流れを作ったのは、松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶という名だたる江戸の三俳人だ。国文学者の著者が、伝統を重んじながらも常に新しい表現の可能性に挑み続けた彼らの足跡をたどり、残した数々の名句について解説。やさしい語りで俳句の魅力に迫る。
★藤田真一著 岩波ジュニア新書・990円=朝日新聞2021年10月16日掲載