生き物の宿命に向き合う思春期の子
普段食べるお肉、どこで手に入れていますか? スーパーやコンビニで買う中で、生き物としてのリアリティーを感じることは少ないものです。
長崎に住む著者の繁延あづささん一家は、2011年の東日本大震災を契機に、東京から見知らぬ土地の長崎に移住。狩猟や出産をテーマに写真を撮影する続ける中で、小学6年生の男の子が「ニワトリを飼いたい」と言い出します。生まれた卵を売って、やがてニワトリも肉として食べる。多感な思春期にニワトリと触れあう長男の姿に触発され、家族の心境や行動にも大きな変化が起きていきます。そして最後、長男の父親は、コロナ禍であっと驚く行動に。
愛情込めて育てたニワトリを食べる家畜飼育の宿命。いざ殺すときの家族の揺れる心や、思春期の子どもと向き合う親としての葛藤が描かれています。