「まんが道(みち)」「忍者ハットリくん」などの作品で知られる人気漫画家の藤子不二雄(A)(ふじこ・ふじお・えー、本名安孫子素雄〈あびこ・もとお〉)さんが、川崎市内の自宅で亡くなっていたことが7日、わかった。88歳だった。
富山県氷見町(現氷見市)生まれ。96年に亡くなった漫画家の藤子・F・不二雄(本名藤本弘)さんと小学校の同級生として出会い、2人で漫画を描くようになった。51年に合作「天使の玉ちゃん」でデビュー。54年に上京、石ノ森章太郎さんや赤塚不二夫さんらと「トキワ荘」で暮らし、2人で1人の漫画家「藤子不二雄」として本格的な創作活動に入った。
64年に連載を始めた合作の「オバケのQ太郎」が大ヒット。同一名義でおのおの独自に作品を描いていたことでも知られ、安孫子さんは「怪物くん」「魔太郎がくる!!」「プロゴルファー猿」や自伝的作品「まんが道」などを、藤本さんが「ドラえもん」「パーマン」などを手がけた。87年のコンビ解消後も、安孫子さんは「藤子不二雄(A)」名義で「笑ゥせぇるすまん」などを発表した。
トキワ荘時代などを描いた「まんが道」は「漫画家のバイブル」と呼ばれ、連載開始から43年後の2013年に続編「愛…しりそめし頃に…」が完結。14年に両作で手塚治虫文化賞特別賞を受賞した。
最近はビッグコミック増刊(小学館)で、文章を担当する「人生ことわざ面白“漫”辞典」(イラストは西原理恵子さん)を連載中だった。
朝日新聞デジタル2022年04月07日掲載