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映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」主演ディーン・フジオカさん 新しい作品に挑む気持ちで、自由に

ディーン・フジオカさん

ホームズの足跡を感じて

――撮影前に原作は読みましたか?

 ホームズシリーズは、部分的に文章で読んだことはありますが、本で読んだことはないですね。ただ、さまざまな作品を通してシャーロック・ホームズに触れてきたという感覚はあります。日本だけでなく、世界中のミステリーや謎解き、探偵ものなど、いろいろな作品の中で、シャーロック・ホームズの足跡、影響を感じますね。バディという意味でも元祖という感じがします。

ヘアメイク:礒野亜加梨(studio mamu)、スタイリスト:金光英行(CEKAI)

――ほかの原作のある作品に出演する時は、原作を読みますか?

 読みます。原作から離れていくために、オリジナルを生み出すためにも。作品の歴史の文脈を知る上で、オリジンがどこにあるのかとか、どういうアダプテーション(改作)が生まれてきたのかを突き詰めていった結果、新しいリメイクやアダプテーションを作る可能性が広がっていくと思うので。ドラマ「シャーロック」は原作を原案としていますが、オリジナル作品という印象が強いですね。

――世界的にも有名なホームズというキャラクターを演じることへのプレッシャーはありましたか?

 それは、ドラマ「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」(2018)の時の方がすごく大きかったですね。世界の名作をなぜ今、リメイクするのか。禅問答のようにずっと考えていたので、その時に比べたら、だいぶ自由になれたかなと思います。今回の映画もドラマとはまた違う、新しい作品を作るという気持ちで挑みました。誉獅子雄というキャラクターも新たに生み出すところからスタートしました。同じチームで一緒にやってきたという積み重ねが自信にも繋がって、より自由に前に向かっていけたと思います。

だんだんと獅子雄の目線に

――映画は、謎めいた洋館で起こる新たな事件と怪しい人物たち、さらに島に伝わる呪われた魔犬伝説も絡み合い、最後まで先の読めない展開でとてもスリリングでした。脚本を読む時は、獅子雄のように謎解きをしながら読むのでしょうか?

 全体像を把握するために、最初は獅子雄の目線では読まないですね。どういう意図があってこの脚本は書かれているのか、どんなリズム感があるか、どこにターニングポイントがあるのか、伏線はどこにあって、どう回収されていくのか。全体の構造を理解してから、だんだんと獅子雄の目線になっていくという感じです。

Ⓒ2022「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」製作委員会

――脚本を最初に読んだ時はどんな印象でしたか?

 この作品は「バスカヴィル家の犬」とうタイトルや、「シャーロック劇場版」というタイトルを付けなくても成立するのではないかと思いました。それぐらい、ドラマとも違う、オリジナリティのある作品だと思いました。

 もちろん、シャーロック・ホームズをリスペクトしていて、『バスカヴィル家の犬』からインスピレーションを受けた演出もあります。でも、それだけでなく、細かいところまで想像力が張り巡らされていて、獅子雄を演じる意味でも難易度が高いだろうと思ったし、どんな現場になるんだろうと期待が膨らみました。作品を観る人も、すごく楽しめるだろうなと同時に期待できましたね。

――作品のキャッチコピーに「その謎解きを、後悔する」とありますが、今回の謎は、登場人物それぞれに隠された闇が深いですね。

 謎を解くという好奇心や達成感が獅子雄の生きる原動力になっているわけですが、そこに到達することによって、また違うボタンが押されてしまう、新たな悲劇を生むという仕組みは、とても興味深かったです。印象的なシーンはたくさんありますが、後悔することを全身で表現するシーンは、とても印象に残っています。作品の見どころの一つでもありますね。