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サッカーマニアの下村敦史さんが行き着いた「eFootball」

©GettyImages

 小学校4、5年の頃だったでしょうか。僕の記憶が確かなら、「少年ジャンプ」のスポーツ特集でサッカー日本代表GKの川口能活選手が取り上げられていました。サッカー漫画の金字塔「キャプテン翼」に関連した特集だったので、川口選手が「僕も若林(漫画内のSG〈スーパー・グレート〉GK)のようにペナルティエリア外からのシュートは決めさせませんよ!」と語っていたことで、彼に興味を持ち、サッカーを観るようになりました。当時、アトランタオリンピックの最終予選が行われており、1試合1試合に興奮したことを覚えています。僕は常に川口選手を応援していました。

 日本代表がオリンピック出場を決め、本選でサッカー王国ブラジルと激突した試合は伝説となっています。後にマイアミの奇跡と呼ばれるようになった一戦です。

 スーパースター軍団のブラジルを相手に川口選手がスーパーセーブを連発。まさに神がかっていました。猛攻をしのぎ切った日本は、カウンターから相手GKのミスを誘発して先制すると、再びシュートの雨あられに晒されますが、やはり川口選手のスーパーセーブがチームを救います。そして――1対0の勝利。

 日本代表は2勝1敗でしたが、3チームが同じ勝敗で並び、得失点差によって残念ながらグループリーグで敗退してしまいます。しかし、僕の中で川口選手の活躍は鮮烈な印象となって残り、そこからますますサッカーに嵌まっていきます。
 体育の授業でも、選択したのはGKでした。反射神経に頼った横っ飛びと勇気の飛び出しで相手のシュートをセーブする興奮は何物にも代えがたく、放課後、友達と学校のグラウンドに行き、川口選手になったつもりでGKを楽しみました。

 国内外のサッカーの試合をテレビで観ました。4年に1度のサッカーW杯も全試合、観ました。試合時間が重なっているときは、台所のテレビも使って同時に流していました。
 GKが好きだった僕は、マンチェスター・ユナイテッドの守護神ピーター・シュマイケルや、バイエルン・ミュンヘンの鬼神オリバー・カーンに憧れました。
 中田英寿選手がイタリアのペルージャに移籍し、デビュー戦で王者ユベントス相手に2ゴールを決めた試合は忘れがたいですし、女子サッカー日本代表のなでしこがW杯優勝を決めたアメリカとの奇跡の試合には、感動しました。

 作家デビューして忙しくなると、サッカー観戦から離れてしまいましたが、昨年、サッカーゲームのPS4版「ウイニングイレブン2021」に手出すと、ド嵌まりしてしまいました。貯めたポイントや課金ガチャで有名選手を集め、理想のチームを作り、自分に合ったフォーメーションや戦術を探りながらチームを強くし、オンラインで色んなプレイヤーと対戦するゲームです。

 歴史ある「ウイニングイレブン」は2022年から「eFootball」に変わりましたが、よりリアルなサッカーになり、僕自身は「eFootball」のためにPS5を購入して楽しんでいます。「eFootball」のプロゲーマーのちょぶりさんをはじめ、国体県代表になるような猛者のユーザーの方々と知り合い、配信を観に行ったり、チャットやツイッターで交流するようになって、ますます楽しくなりました。新しい出会いはいいものですね。

 毎日、執筆の合間に息抜きで「eFootball」をしています。トータルで1000試合は超えているかもしれません。上手くなろうと努力した結果、「eFootball」の全世界のユーザーの0.8%(2022年7月時点)ほどしかいない“ディビジョン1”にも昇格しました。
「eFootball」でまたサッカー熱が戻り、今ではゲームも現実の試合も楽しんでいます。いちユーザーとしては、誰でも無料でダウンロードしてプレイできる「eFootball」が盛り上がることを期待しつつ。