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98歳佐藤愛子さん、やっぱり「死ぬまで書く」 断筆宣言撤回、女性誌で新連載

佐藤愛子さん

 「佐藤愛子98歳、新連載スタート!」。女性誌の表紙に目立つ、このコピーには驚いた。1年前に「断筆宣言」をしていた作家、佐藤愛子さんの新連載が「婦人公論」9月号で始まった。「思い出の屑籠(くずかご)」と題した連載は、2歳前後の人生最初の記憶から、父・佐藤紅緑との幼少期の思い出を闊達(かったつ)に語っている。

 単行本がベストセラーになった『九十歳。何がめでたい』。初出は週刊誌の連載エッセーで2015年から続いていたが、昨年8月の続編刊行時に「断筆宣言」をしていた。

 新連載が型破りなのは、「前もってのお詫(わ)び」から始まっているところ。「断筆宣言」の後、「そのうち毎日が退屈でたまらなくなって」依頼もないままに書き始めていたのだという。

 1年前には「言葉が出てこない」と嘆いていた佐藤さん。改めて電話すると、「難しいことを書いているわけじゃない。幼いときの記憶が濃く残っていて、昔のことはいろいろ書けるんですよ」と元気な声が飛び出してきた。11月には99歳になる。「書けなくなるまで、死ぬまで書きます」(中村真理子)=朝日新聞2022年8月31日掲載