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最新の宇宙論から予測する「宇宙の終わりに何が起こるのか」 佐藤健太郎が選ぶ新書2点 

『宇宙の終わりに何が起こるのか 最新理論が予言する「5つの終末シナリオ」』

 宇宙はビッグバンと呼ばれる大爆発から始まったとされる。では宇宙の終わりはどうなるのだろうか。ケイティ・マック『宇宙の終わりに何が起こるのか 最新理論が予言する「5つの終末シナリオ」』(吉田三知世訳、講談社ブルーバックス・1540円)は、最新の宇宙論から予測される世界の終末を紹介する。膨張した宇宙が再び一点へ収縮してゆく「ビッグクランチ」、膨張の果てに全てが引き裂かれる「ビッグリップ」など、予測されるシナリオは5種。無限ともいえる時間の果てに何がやってくるのか、冬の夜空を眺めながら思いをはせてみるのも悪くない。
★ケイティ・マック著 吉田三知世訳 講談社ブルーバックス・1540円

『「美食地質学」入門 和食と日本列島の素敵な関係』

 日本人は、和食という極めて独自性の高い食文化を発達させてきた。巽好幸『「美食地質学」入門 和食と日本列島の素敵な関係』(光文社新書・946円)は、マグマ学者にして美食家でもある著者が、和食のルーツを日本列島の成り立ちに求めた楽しい一冊。蕎麦(そば)と活火山、山梨ワインと伊豆半島の衝突などの関係が、鮮やかに読み解かれてゆく。豊かな日本の食材が、この列島の多彩な地勢に育まれたものであることを知ると、改めて感動を覚える。知識のレンズを通して世界を眺めると、食事一つの見え方さえ大きく変わるのだ。学問に触れることの意義と喜びを、改めて感じさせられた。
★巽好幸著 光文社新書・946円=朝日新聞2022年12月17日