ふたりだけの秘密の恋(井上將利)
最近の気になるタイトルをご紹介する今回は、いま最も勢いのある&井上も大注目の野白ぐりさんの「金銀ささめくひみつは夜」(幻冬舎コミックス)です。2021年のデビューコミックス「それは春の終わりに」の発売当初から注目を集めており、その後刊行されたタイトルも立て続けにヒットするなど書店員としても「徹底マークしなければ……!」という作家さんでした。そして今回は中世ファンタジーということでこれまでの作品とはまた雰囲気も違っていて、やっぱり最高でしたので是非皆さんにもご紹介したく!(笑)
【あらすじ】
魔術を用いて人々のライフラインに欠かせない鉱物を発掘する、通称《術部》のリーダーとして活躍するアロイ。その華やかな美貌と、高貴な家柄を笠に着たりしない人当たりの好さで周囲の誰からも慕われている。一方、眉間に皺を寄せた仕事人間で《主計局》の同僚に煙たがられるミカドは、“みんなの”アロイ様相手にも態度を崩さない。傍から見れば何の接点もなく、反りも合わない二人。けれど本当は、誰にも内緒の関係で……?幻冬舎コミックス「金銀ささめくひみつは夜」作品紹介より
そう、今回のお話は誰にもバレてはいけない秘密の関係を描いたお話です。アロイとミカドは表向きはそれぞれ術部と主計局のリーダー的存在で、仕事上では互いのプライドがぶつかり合うなど、決して仲良しには見えない関係なのですが、実はこの2人とっても仲良し……というか愛し合っているのです。
夜になるとミカドがお忍びでアロイの部屋に行くのですが、そこには昼間の顔と打って変わって甘えん坊なアロイが。そして普段は鉄仮面のようなミカドのアロイに対する溺愛っぷりが凄いです、ギャップが。
アロイは高貴な家柄の青年ですが、ミカドはアロイの家に拾われた元孤児でした、2人は幼少期から仲睦まじい関係でしたが、次第に身分の差を理由に引き離されていきます。それでも2人の想いは途切れることなく、人目を忍んで愛し合う姿はとても情熱的なのです。
幼少期に「ごめん」と言いながらアロイにキスしたミカドの表情からは、迷いや後ろめたさを背負いながらも純粋な感情に突き動かされる一途な愛の絆を感じて、思わずキュンとしてしました!
しかし、「いつまで隠れて愛し合わなければいけないんだろう」と悩むアロイと「いつまで続けられるのだろう」と不安に思うミカド、互い秘密の関係に限界を感じていた2人にとって予期せぬ出来事が起こって……。立場や身分を超えた2人の想いは切り裂かれてしまうのか、一途な2人の絆が試される展開にドキドキが止まりません!
これまでの作品と同じく、野白ぐりさんの描く柔らかなキャラクターが魅力で、触れたら壊れてしまいそうな彼らの優しく可愛い表情を堪能して頂ける一冊となっております。是非ご一読ください!
尊すぎる!ピュアッピュアのむずキュンラブ♡(原周平)
今回は続編を楽しみにしていた作品の2巻目が出たので紹介させていただきます。1巻目が未読の方は是非、むずキュンとニヤニヤが止まらない2人の馴れ初めから読んでみてください♪
さん太ろさん「別れてやらない!(2)」(一迅社)。
文屋(ふみや)から告白され、最初はドッキリだと思って付き合うフリをすることにした秋良(あきら)。紆余曲折あって2人が正式にお付き合いすることになってから1カ月後のお話。
もう最初から最後まで、初々しいカップルの可愛らしさが炸裂しまくってます‼︎ もはや常時イチャついているバカップル状態で、周りの友人と同じように生暖かく見守ることしかできません……笑。でも本当にこの2人のやり取りがピュアッピュアで、頬が緩みっぱなしになること間違いなしです!
まだキス止まりの2人、その先に進むのか進まないのかでヤキモキする様子が健全な思春期の男子らしくて、若かりし頃ってそんな感じだったよな……なんて思ってしまったりしながら(遠い目)、文屋と秋良のやり取りにクスっとさせてもらいました。それでも堪らないシーンはいくつかあって、特にここはお気に入りです。
文屋のイケメン力が高過ぎて……! こっちまでドキドキしちゃいそうです! 彼の秋良へのゾッコン具合がまた良いですね。ちょっと天然で、俺様って感じではなく、秋良のストレートな言動に喜怒哀楽振り回されているところも可愛いです。
一方の秋良も、はじめは戸惑いながらも、文屋の大き過ぎる愛を受け止めようとちゃんと向き合っていて素敵。お互い性格は違えど、一緒に進もうとしていく姿にきゅんとしちゃいました。
そしてこの第2巻ではクラスメート・谷の活躍が目覚ましいのも見ものです! 彼のナイスアシストがどれだけ2人を導いてくれたか……。彼をはじめとして友人・家族も良いキャラクター揃いなのも本作の楽しいポイントです。
少しずつ少しずつ、恋人として歩みを進める2人、まだまだ続くようでありがたい限り! これからもどんな“てんやわんや”を見せてくれるのか、3巻でも甘々なお話が楽しめるのを心待ちにしたいと思います。