1. HOME
  2. 書評
  3. 「フランスの子どもの育ちと家族」書評 手厚い支援、わかりやすい解説で紹介

「フランスの子どもの育ちと家族」書評 手厚い支援、わかりやすい解説で紹介

評者: 藤田結子 / 朝⽇新聞掲載:2023年12月16日
フランスの子どもの育ちと家族 一人ひとりに届ける福祉が支える 著者:安發 明子 出版社:かもがわ出版 ジャンル:福祉・介護

ISBN: 9784780312805
発売⽇: 2023/08/02
サイズ: 21cm/192p

「フランスの子どもの育ちと家族」 [著]安發明子

 フランスの小学校では、著者によれば、男女で違う持ち物や行動を強いない。また、著者が通ったスイスの小学校では、子どもを背の順やかけっこで比べることがなかったという。一方で、日本は偏差値や身長で人と比べたり、男の子は青、女の子はピンクと色分けしたり。大人本位の「こうあるべき」が幼い頃から重くのしかかる。
 母親についても、「赤ちゃんはママがいい」と政治家が発言するほどワンオペ育児の日本。フランスでは、女性も男性と同様に子どもを認知するか否か選べるという。女性が男性に認知を求める場合、裁判所に出頭しないと父親と決定され、子の養育費支払い義務が生じる。給料から天引きする方法もあるそうだ。乳幼児期以降も「子どもはみんなで育てるもの」と母親の責任にせず、専門職が一人ひとりに手厚い支援をする。
 フランスの子どもの家庭福祉について、わかりやすい解説と事例で学べる良書である。