累計350万部の人気絵本シリーズ「パンどろぼう」
『パンどろぼう』は、おいしいパンを探し求めて盗みを働くパンどろぼうが主役のストーリー。2020年4月に出版されると、シュールでお茶目なキャラクターと思いがけない展開で人気を博し、第11回リブロ絵本大賞で大賞を受賞、第1回TSUTAYAえほん大賞で第1位に輝きます。その後シリーズ化され、第16回MOE絵本屋さん大賞を受賞した5作目『パンどろぼうとほっかほっカー』まで、累計350万部を突破する人気シリーズとなりました。9月には6作目となる新作『パンどろぼうとりんごかめん』の出版が予定されています。
原画とフォトスポットでパンどろぼうの世界へ
展覧会は、入口のキャラクター紹介からスタートして、『パンどろぼう』『パンどろぼうvsにせパンどろぼう』『パンどろぼうとなぞのフランスパン』『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』『パンどろぼうとほっかほっカー』と、シリーズ5作品の全ページの原画100点以上が、1作目から順に楽しめるようになっています。
黄色、紫、青、赤、オレンジと、作品ごとに変わる壁の色やカラフルな額装マットが、「パンどろぼう」の明るく楽しげな雰囲気にマッチしています。原画のそばにはテキストも添えられているので、1作目から5作目まで、読み聞かせをしながら進んでいくのもおすすめです。
「原画ならではのテクスチャーや色合い、筆のタッチを楽しんでほしい」と作者の柴田さん。一点一点じっくりと眺めれば、印刷物では見ることのできない、原画だからこその迫力や繊細な表現を味わえます。一部の原画には、ラフスケッチや柴田さんのコメントもあわせて展示されていて、原画との違いや制作における工夫を見てとることができます。アイデアメモやプロット、キャラクターデザイン画なども公開されており、作品が生まれるまでの試行錯誤も伝わってきます。
フォトスポットが多数展開されているのも、この展覧会の魅力のひとつ。「もりのパンや」が立体で再現されていたり、1作目で多くの読者に衝撃を与えた「まずい」のシーンが巨大サイズでプリントされていたり、移動販売車「ほっかほっカー」に実際に乗ることができたりと、小さな子どもも飽きさせません。一緒に写真を撮れば、パンどろぼうたちの世界に入り込んだ気分になれることでしょう。
初の公式ビジュアルブックと充実のグッズ
パンどろぼう展の開催にあわせて、本展の主な内容が収録された「パンどろぼう」初の公式ビジュアルブック『いとしい いとしい いとしの パンどろぼうずかん』(KADOKAWA)が刊行されました。
絵本原画やラフスケッチを多数収録するほか、キャラクター紹介や誕生秘話、作者・柴田ケイコさんへのロングインタビュー、パンどろぼうへ50の質問など読み応えのある内容で、パンどろぼうの世界を丸ごと楽しめます。付録の描き下ろしのジャバラロングポスターには、9月に出版される新刊『パンどろぼうとりんごかめん』も含めた「パンどろぼう」シリーズのさまざまなキャラクターが描かれています。
展覧会を見終えた足で立ち寄りたいのがグッズ売り場。Tシャツやトートバッグ、クッションをはじめ、描き下ろしイラストを使用した展覧会オリジナルグッズも販売されています。
柴田さんのおすすめは、ベレー帽をかぶって鉛筆を持った“パンどろぼう画伯”のぬいぐるみと、“パンどろぼう画伯”が描かれたマルマンのクロッキーブック。記念に連れ帰って、展覧会の余韻に浸ってみてはいかがでしょうか。
パンどろぼうの魅力を「完璧じゃないところと、パンを愛するひたむきさ」と語る柴田さん。子どもだけでなく大人の心も惹きつけるのは、そんなキャラクターの魅力によるところが大きいのかもしれません。明るく愉快で憎めないお茶目なパンどろぼうの世界を、夏の思い出に展覧会で堪能してみませんか。