子供のころから規則正しい生活や運動をやろうと思ってはできなくて自己嫌悪に陥る人生を五十年くらい送ってきた。無理や無茶(むちゃ)をするほうではなく、動かないタイプで、不健康が積もっていても急激な不調に見舞われることはなかったのだが、しわ寄せが積もってきた。この数年体調を崩すことが続き、心身的に問題が発生したりして、長年の懸案だった健康的な生活に取り組んでいる。
幸い、今はツールが充実している。まずは家の中でできる運動の動画配信。ジム通いが続けられず、パーソナルトレーナーにお金を払ったら絶対行くよ、とアドバイスされても、私の場合その時間に合わせることの労力が大きすぎて無理だったので、家から出なくても運動できるのはありがたい。身支度は不要だし、遅刻してもなんの影響もない。
体組成計と血圧計はアプリでグラフにして見られるし、食事も記録するアプリを使って足りなかったり多すぎたりする栄養素を調整できる。最新で導入したのはスマートリングという指輪型の機器で、脈拍や睡眠や活動量を測って記録する。
近年の計測アイテムは、大部分を自動的に計算や記録をしてくれるのが良い。自己認識と計測結果が違うことが利点だと思う。食べているつもりで食べていない、あるいは食べ過ぎている。私は夜中に目が覚めてしまう中途覚醒があって、眠れないかもと不安で眠れないのが悩みなのだが、記録を見てみると、思ったより寝ている。夜中に寝られないとさいなまれている時間は意識に強く残るが、実際に起きている時間はそれほどでもなかった。と、わかると、不安が軽減される。逆に、寝ようと思ってから実際に寝るまでに細々と別のことをやってしまって睡眠時間の全体としては自己認識より短かったので、就寝時間は早くしてみた。複数の道具を組み合わせてなんとか健康的な生活を目指しているが、その分、仕事する時間が全然ない。それで仕事を優先して健康を置き去りにしていたんだなあ、と思う。=朝日新聞2026年4月8日掲載