ISBN: 9784760156535
発売⽇: 2026/03/26
サイズ: 18.8×2.5cm/382p
「みんなこうして連帯してきた」 [著]ジェイク・ホール
二月の衆院選後、改憲や戦争に反対するデモが日を追うごとに規模を拡大している。国会前のデモに合わせ、全国四十七都道府県でペンライトを手にした数万人の市民――それぞれに多様な背景を持つ人々が声をひとつに平和を訴えている。
かつてないほど連帯ムードが高まる日本で、二十世紀後半から現代にかけて世界各地で起こった社会運動の数々を、「連帯」という観点から読み解いた本書が翻訳出版されたことは単なる偶然ではないだろう。労働者、有色人種、クィア、ホームレス、セックスワーカー、障害者、移民、先住民、肥満、気候危機など、「周縁化された人々」のさまざまな問題が取りあげられているが、どの事例も現在の日本と無関係ではない。
とはいえ、連帯はそう容易なものでもない。多様な集団をひとつに束ねるには煩雑な手続きや労力を必要とする。その歴史を辿(たど)ることは、同時に公権力からの弾圧の歴史を辿ることでもある。いつどの時代でも権力者は市民が団結して行動を起こすことを恐れてきた。だからこそ「周縁化された人々」を悪魔化して分断や差別感情を煽(あお)り、ときに暴力を振るってまで運動を妨害しようとする。それでも人々は試行錯誤をくりかえし、隣にいるだれかと手を取りあって立ちあがる。決して抵抗をやめない。「闘っても、負けるかもしれません。でも、闘わなければ、間違いなく負けるでしょう」
明日が今日よりよくなるようにと願って起こした行動が、すぐ近くにいる別のだれかの行動を生み、ひとつの躍動となる。世界の片隅で起こった運動の火種が、海を越えたどこかの国へと飛び火し、世界中をパーティーに巻き込んでいく。その連鎖は、時代を超えて私たちのいるところまでつながっている。この本が読者の胸に灯(とも)した希望の光も、いつか夜を照らす大きな光の渦となるだろう。
次は、私たちの番だ。
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Jake Hall 英ドンカスター出身の作家・ジャーナリスト。労働者階級のクィア(性的少数者)として、10年以上にわたり執筆活動。