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絵本ナビ編集長おすすめの新刊絵本11冊は…? 「NEXTプラチナブック」(2026年8月選定)

【この記事で紹介する絵本】

あの夏、ぼくに起こった不思議な出来事。『あたまにのったタコ』

『あたまにのったタコ』(作:たしろ ちさと 企画・原案:ジェニー・ギヨーム/講談社)

夏休み、家族みんなで海に行った時のこと。生まれて初めて海にもぐったぼくの頭の上には、なんと小さなタコがのっていた! そのタコは、ぼくの頭の上でどんどん大きくなっていき、新学期がはじまる日には、びっくりするくらい巨大なタコになっていて……。国際的絵本の登竜門、アストラ国際絵本原作コンテスト受賞作品から生まれた、タコと少年の心あたたまるストーリーを描いた絵本。

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【編集長のおすすめポイント】

頭の上にいるってことは、何をするにもずっと一緒。朝から晩までタコといっときも離れることなく過ごすのです。全く想像もできませんよね……。ところが絵本の中では、まるで本当にあったことのように描かれているのです。最初こそ苦労していたけれど、少しずつ息も合っていき、心も通うようになり、気が付けばすっかり友だちに。そんな様子に、子どもはもちろん、大人でさえ、すっかり夢中になってしまうのです。

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わたしたちの夏は、そばにいる。『はなび』

『はなび』(作:マシュー・バージェス 絵:カティア・チェン 訳:万木森 玲/岩崎書店)

今日は特別な日。まちにまった夜の時間がやってくる。家に帰って、外階段を駆けあがり、薄暗くなった空を見上げてじっと待つ。「どん! ぱあーん!」はじまった! 2026年コルデコット賞をはじめ、数々の賞を受賞。中を開けば、まぶしくて何もかもが幻のような昼の時間、静まった夜空を花火が華やかに彩る夜の時間、対照的な二つの美しい景色がエモーショナルに描かれており、読者の心を揺さぶります。

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【編集長のおすすめポイント】

全ての花火が打ちあがった後、煙とにおいだけがふらふらと漂う夜の空。楽しみにしていた一日の終わり、寝る前の支度の時間。ベッドに入り、目を閉じた後、体に響く音と光。忘れられない花火の思い出は、なにも見ている瞬間だけではありません。体の色々な部分に、細かく記憶が刻まれていくのです。絵本を読んでいると、子どもたちの過ごす時間の一つ一つがどれだけ大切なものなのか、改めて気づかされます。ためしに目を閉じ、あの頃の記憶をたどってみれば、浮かんでくるのは……?

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きみもゴリラも知っている。『バナナでんわででんわをしたら』

『バナナでんわででんわをしたら』(作:ギデオン・ステラー 絵:エミリー・ヒューズ 訳:ふしみ みさを/ひさかたチャイルド)

もしも、きみがバナナを耳にあてて電話をすると、ジャングルの奥のまたその奥にいる、ゴリラが出るよ! ゴリラはきっとびっくりして、色々聞いてくるはず。でも、きみは焦らなくていいよ。まずは、名前を伝えて。それから、自分のことを話してみよう。そのうち、秘密の話だって打ち明けるくらい仲良くなって……。「もしも」の話から広がる、ぼくとゴリラの豊かな世界。

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【編集長のおすすめポイント】

きっかけは、きっと些細なこと。手にしたバナナの形を眺めていたら、思わず耳にあてて「もしもし」とつぶやいてしまったのかもしれません。けれど、そこから始まる物語の豊かなことといったら。思いもかけないゴリラとのコミュニケーションを忍耐強く続け、まわりにうそと言われても気にせず、話す内容が複雑になってもきちんと考え、その先に続く景色はどんどんと広がっていき。子どもの想像力の逞しさにうなってしまうほど。絵本というのは、そんな想像を信じる子どもたちの、いつだって味方でいてくれるんですよね。

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しゃらんしゃらんと手のひらに落ちてきたのは!? 『にじのたね』

『にじのたね』(作:ボコヤマ クリタ/アリス館)

雨上がり、のぞみは森へお散歩に出かけます。木々の葉っぱの先できらきらと光る雨つぶを手の上にのせようとしますが、うまくいきません。そこへきつねの子がやってきて、不思議な呪文をとなえます。すると、しゃらんしゃらんときれいな音をたて、丸い形のままつぶとなって手のひらに落ちてきたのです!

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【編集長のおすすめポイント】

いつもとちょっと景色の違う雨上がりのお散歩。感性豊かな子どもたちの目には、その明るい日差しや濡れた葉っぱ、さらにここかしこできらめく雨つぶだって、まるで宝物のように新鮮に映るのでしょうね。「雨つぶを手にのせることができたらいいなあ」……こんな日常の中で生まれてくる小さな、でも切実な願望こそが、ファンタジーの世界を呼びよせるのかもしれません。雨つぶを手に取るという願いが叶い、さらにちょっぴり驚くような出来事を見せてくれたなら。何度だってこの絵本を読み返してしまいますよね。

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りーこの心を満たしてくれたのは……? 『ありのこりーこ』

『ありのこりーこ』(絵:秋山 あゆ子 文:麦田 あつこ/ブロンズ新社)

りーこのおうちは朝から大忙し、あかちゃんがうまれたのです。誰もりーこをかまってくれないので、りーこはお散歩に行くことに。あぶらむしとピクニックに出かけ、みつばちとプールで遊び、くもじいには絵本の読み聞かせをしてもらい、しじみちょうの素敵なおうちに招待してもらい……。ありの子を主人公に、兄弟が生まれた時の揺れ動く繊細な気持ちと、それを見守るまわりの大人たちの優しいまなざしを、あたたかく描きだします。

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【編集長のおすすめポイント】

虫が大好きな人にはもちろん、虫がちょっぴり苦手な人の心をもつかんでしまう秋山あゆ子さんの描く世界。ありの特徴はそのままに、でも赤いお洋服がとっても似合っているりーこが可愛くて仕方がないのが自分でも不思議です。みつばちやくもじい、シジミチョウなど、それぞれ派手で華やかな特徴を持つ昆虫にも興味を引かれつつ、それでも無事におうちに帰ってきたりーこを迎えるおねえさんたちに心躍らせ、りーこの話に嬉しそうに耳をかたむけるおかあさんを見てほっと安心してしまう。昆虫や植物をこよなく愛する秋山さんの視点を味わいながら、もうすっかり世界に入り込んでしまっているのでしょうね。虫の世界に一歩近づけたのかもしれません。

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【好書好日の記事から】

秋山あゆ子さん・麦田あつこさんの絵本「ありのこ りーこ」リアルかわいい昆虫の世界で描く、あたたかい子育て

ふたりの心はひっつき、ひっつき。『おとまりペンギン』

『おとまりペンギン』(作:ねじめ 正一 絵:降矢 なな/童心社)

なずちゃんのうちに、ペンギンのペンちゃんがやってきました。初めてのおとまりです。はりきるなずちゃんに対して、ペンちゃんは下を向くばかり。びんびん、ぐんぐん、どんどん、だんだん。ペンちゃんは、なずちゃんのおもちゃをめちゃくちゃにちらかしはじめました。「だめえ!」なずちゃんが思わずペンちゃんのおしりにどーんしたら、ぺんちゃんがぴゅーんしゅるしゅるとすべっていき……。

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【編集長のおすすめポイント】

自分のおうちにわくわくするような不思議なお友だちがおとまりにやってくる……そんな喜びにあふれた状態のなずちゃん。知らないおうちに置いていかれて、知らないお友だちと遊ばなくてはいけなくなった……と不安でいっぱいのペンちゃん。スタート地点の心の状態はまるでちぐはぐ。まわりの環境に、どうしても気持ちが左右されてしまう子どもたちのコミュニケーションにおいては、よくある状況ですよね。それでも、ふたりは全力で向き合うことによって「どーん、するする、きゅー」と乗り越えてしまっているのです。全てが愛おしい姿です。

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はしりだしたのさ!『たまごのないしょばなし』

『たまごのないしょばなし』(作:しおたに まみこ/ブロンズ新社)

やあ、ひさしぶり。わたしはたまご。この前、ちょっといやなことがあってね。子どもも大人も魅了する、しおたにまみこさんの不思議な絵童話第3弾。今度のたまごは、新しいことをしたくなり、「し」を書いてみることにしたようです。はじめて完成させた「し」をマシュマロに聞かせてみると、マシュマロから朗読会に出ることを勧められ、たまごはみんなの前で「し」を朗読します。すると頼んでもいないのに、みんなが勝手に感想を言いはじめ……。

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【編集長のおすすめポイント】

さっきまで大丈夫だったはずなのに、自分でも結構気に入っていたはずなのに。順番が近づくにつれ落ち着きがなくなっていき、とうとう朗読の出番がきた時には目の前のすべてがぼやけてきて……。自分ではどうしようもない状況に立たされた時、たまごは迷いません。走って走って、逃げだします。それでいいのだと思います。少しくらいかっこ悪くたって、たまごはたまご。「次こそは」と逆転を狙っているくらいの逞しさに共感を覚えてしまうのです。

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誰かの場となり糧となり。『やまゆり』

『やまゆり』(作:たての ひろし/小峰書店)

日本絵本賞を受賞した『どんぐり』に続く、舘野鴻が描く文字のない絵本。コナラ林を舞台に、鉛筆画で緻密に描かれる植物や虫たち。そのモノクロの世界の中で、ほんのりと色づいたやまゆりが美しく成長していき、やがて花が実となり、一斉に種を飛ばし、枯れていく。その老いや死までをも含めて、定点観測で静かに力強く描いていきます。

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【編集長のおすすめポイント】

雨粒に濡れるやまゆりの茎をカタツムリが嬉しそうに登り、先端の葉っぱからはクモが糸を垂らし、花のまわりでチョウやハチが全身に花粉をつけて飛びまわる。枯れた茎にはカマキリの卵が産み付けられ、はじけた種は枯れ葉やどんぐりの実の隙間に落ちていく。どのページを開いても、目を凝らしてみれば見れば見るほど、たくさんの小さな物語が立ち上がってくるこの絵本。自分が生きるということは、誰かの一部になることなのだということが、言葉がなくとも明確に伝わってくるのです。

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世界中のありとあらゆる場所で。『おならはえらい』

『おならはえらい』(詩:まど・みちお 絵:岡本 よしろう/ほるぷ出版)

おならは、えらい。
おならは、出てきたときにきちんとあいさつする。

おならについて、こんな風に考えたことありますか? この世のありとあらゆるものに、あたたかなまなざしを向け、優しい言葉で大切なことをつづってきた詩人まど・みちおさんのユーモアあふれる詩「おならはえらい」。約80文字で表現されたこの短い詩が、まどさんの同郷、山口県在住の絵本作家岡本よしろうさんの手により、迫力いっぱいの絵本になりました。

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【編集長のおすすめポイント】

「おなら」と一口に言っても、色々な音を想像しますよね。ぷぅ、ぶぶー、ボスンッ、ぶほっ、すー。どれも想像するだけで笑ってしまいます。でも、それがもし「おならがあいさつをしている」のだとしたら? そんな事考えたこともなかったけれど、なんだか途端に世界の見え方が変わっていくようです。世界中のありとあらゆる場所であいさつをしながら登場するおなら。その後、様々な場所に漂いつづけるおなら。国境なんてモノともしないおなら。絵本をきっかけにして、自分なりのイメージが広がっていくと、世界はもっと面白くなるのかもしれません。

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それは何も特別なものじゃない。『うつくしい!』

『うつくしい!』(文:谷川 俊太郎 写真:川島小鳥/偕成社)

「なぜ にんげんは、
 なにかを うつくしいとおもうんだろう?」

美しいものを美しいと感じる心とは、いったいなんだろう。そもそも美しいとは、どういうものなのだろうか。美しさというのは色々あるのだろうか、それとも一つなのだろうか。私たちの考える美しさとは……。詩人・谷川俊太郎と写真家・川島小鳥がおくる、美しさを考える写真絵本。

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【編集長のおすすめポイント】

「うつくしい」と感じる心に変化はあるのでしょうか。時代によってその価値観は移りかわっていくのでしょうか。絵本の中で谷川俊太郎さんから語りかけられるのは、43年前の言葉。その時には美しかったものが、今は醜いものとなっている。積み重ねてきた経験が、美しさの邪魔をしてしまう。そんな事もあるのでしょうか。その答えは大人になった今でも、簡単には見つけられないのかもしれません。けれど、より個人的な視点にも思える川島小鳥さんの写真を眺めていると、小さなこだわりがなくなっていき、もっと大きな視野で「うつくしさ」を捉えようとしている自分にも出会うことができるのです。物事の本質を考え続けていく。その大切さを知ることは、子どもにとっても同じなのだと思います。

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ぼくらは、リスだ。『ぼくらをからないで』

『ぼくらをからないで』(作:エーヴァ・リンドストロム 訳:よこの なな/岩波書店)

森で狩りをすることに大勢が「賛成」、「反対」したのは2匹のリスと1匹のウサギだけ。彼らはそこを立ち去り、森へ帰っていく。ハンターたちは森にやって来て、鉄砲を持ってうろうろ。そのうちウサギの片耳に鉄砲玉が命中。ぼくらは静かに暮らしたい。木の実集めをじゃまされたくない。夜は眠りたいんだ。アストリッド・リンドグレーン記念文学賞受賞作家による、おびえながらも勇気を持ち続ける、小さなものたちの物語。

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【編集長のおすすめポイント】

「ぼくらは、かりが大嫌い。大好きなのはたいそうと木の実」。当然のことを言っているだけなのに、彼らは隅へと追いやられ、抵抗もできず、「誰かがひどい目に合うのは仕方のないことだ……」と思わされていく。心が痛むシーンが続くけれど、それでもなお彼らは「リス」であることをやめようとせず、ウサギとの友情を大切にする。信じられるのは、自分が自分であるということだけ。そこに明日へと繋いでくれる希望のヒントがあるのかもしれません。

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絵本ナビ編集長がおすすめする「NEXTプラチナブック11選」はいかがでしたでしょうか。対象年齢も、あつかっているテーマもさまざま。気になった絵本があったら、ぜひ手にとってみてくださいね。絵本ナビ「プラチナブック」連載ページへ

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絵本ナビ編集長・磯崎園子さん「はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで」インタビュー 絵本と年齢の関係とは?