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高橋源一郎「ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた」書評 ぼくらなりの「くに」をつくろう

評者: サンキュータツオ / 朝⽇新聞掲載:2018年02月18日
ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた (集英社新書) 著者:高橋 源一郎 出版社:集英社 ジャンル:小説・文学

ISBN: 9784087210125
発売⽇: 2017/12/15
サイズ: 18cm/290p

ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた [著]高橋源一郎

そろそろ春休みだ。この本は、夏休みに「くに」をつくることになった、ぼくとはちがう学校にかようランちゃんという小学生の考えが書かれている本だ。ぶんしょうも、ぼくが書くのとおなじくらいのレベルでわかりやすい。ランちゃんとその友だちは、憲法をつくり、「名前のないくに(仮)」をつくっていく。正直、ぼくも「こく民」になりたかったけど、おかあさんに許してもらえなさそうだ。彼らが通う学校は、変わった先生ばかりだったんだ。
 ランちゃんは、考えていることが大きいわりに、語ることは家族や友だちの話ばかりで、世界が小さい。だけど、ぼくは思うんだ。「くに」について考えることは、家族のことを考えることでもあるんだって。それに、ランちゃんはムダ話が多い。けれど、その一見ムダに思える話が、自分のことのように思えた。ムダにこそ人の考えがでてるのかな。
 ぼくでも読めたんだ。この春休みに、一緒にぼくらなりの「くに」をつくろう。