サトコとナダ(1) [作]ユペチカ [監修]西森マリー
日本人にとってはまだまだなじみ深いとは言えないイスラム文化。ニカブとヒジャブとチャドルとブルカの違いがわかる人もそう多くはないだろう。アメリカの大学に留学したサトコも、ルームシェア相手のナダと初めて会ったときは面食らった。サウジアラビア出身のナダは、目の周り以外すべて隠した黒装束(ニカブ)姿だったのだ。
表情が読み取れず〈この人と仲良くしていけるのだろうか…〉と不安がるサトコ。しかし、それは杞憂(きゆう)だった。一皮むけば、ナダはおしゃれ大好きでお茶目(ちゃめ)な〈普通の女の子〉。同年代の女子同士、すぐに意気投合してしまう。
そんな2人の異文化交流ライフを描く連作4コマ。何しろ衣食住すべてが違う。宗教観もお互い理解し難い部分はある。それでも違いは違いとして尊重しつつ、ツッコミも入れる率直さが気持ちいい。〈文化を知りたいのはもちろんだけど 私はナダ あなたを知りたいの〉など、グッとくるセリフも多数。シンプルでキュートな絵柄も魅力的だ。
アメリカでは2人とも「外国人」。そこにもまた異文化がある。相違点や欠点をあげつらうのではなく共通点や美点を見つけようとする彼女らに見習うべき点は多い。=朝日新聞2017年7月23日掲載