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「究極の個人情報」データ化の時代

ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか? [著]高橋祥子

 最近、新聞などで時々目にする「ゲノム」とは、私たちのDNAに記録された全遺伝情報のこと。著者は、そうしたゲノムを解析するサービスを日本で早くに立ち上げた研究者兼起業家で、本書はビジネスの現場で培われた視点からゲノム解析の実情を紹介する。
 一般にゲノム解析サービスでは、数多くのユーザーから集めた唾液(だえき)サンプルに含まれるDNA(ゲノム)を専用装置で分析し、個々のユーザー、つまり「私」の各種体質や病気リスクなど数百項目に上る情報を数万円の料金で提供する。このためゲノムは「究極の個人情報」と呼ばれる。
 同分野の技術的な進歩は著しく、1990年に始まったヒトゲノム計画は一人のゲノムを解析するのに13年の歳月と3500億円の費用を要したが、現在の最新装置では同じことが2週間、かつ10万円もかけずにできる。それにより「私」の全てがデータ化される時代が到来しつつある。
 現在のゲノム解析サービスには、精度に対する懸念などから、反対意見も少なくない。が、現時点のテクノロジーの性能だけで評価を下すのは誤りであり、技術が十分に発展した未来を想定し、将来の変化の幅を加味して考えることが必要と本書は説く。=朝日新聞2017年10月22日掲載