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「うちゅうはきみのすぐそばに」 地上離れ大空へ、宇宙を感じる絵本

 風船にカメラをつけて飛ばし、宇宙や地球を撮影してきた岩谷圭介さん(31)=北海道苫小牧市=が手がけた絵本「うちゅうはきみのすぐそばに」(福音館書店、税抜き1400円)が出版された。「自分たちがどんなところに暮らしているのか、興味を持ったら読んでみて」。そう呼びかける。
 地面から徐々にビルの最上階、雲の中などあらゆる高さから見える景色が描かれる。地球から離れ、高さ約400キロの宇宙ステーションにたどり着いて、その先は――。岩谷さんの語りかけるような文と、みねおみつさんの絵で、遠い存在のような宇宙が身近に感じられる。

科学や自然の知識紹介も

 各ページに関連し、科学や自然現象の解説も。例えば飛行機の影に円形の虹が描かれているページについては、虹ができる理由を説明する。「科学を好きになった子どもの好奇心を満たせるよう深い知識も紹介したかった」と話す。
 岩谷さんは子どもの頃、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場する博士に憧れた。大学時代から風船を使った宇宙の撮影に挑み、失敗を繰り返しながら技術をつくり出した。
 今は撮影にとどまらない宇宙開発の研究もする。各地で講演やワークショップも行い、子どもたちに「失敗したからこそ、面白い発見がある」と伝えている。(及川綾子)=朝日新聞2018年3月31日掲載