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「ひとりぼっちのベア」ほか子どもにおススメの3冊 居場所を守る、行動する勇気

「ひとりぼっちのベア」

 主人公は11歳の少女エイプリル。母を事故で亡くし、父と2人でくらしている。科学者の父が、自然科学調査のため北極圏にある小さな島に行くことになった。おばあちゃんは反対したが、学校になじめず友だちもいなかった彼女は、父と無人島に行くことにする。島についてからも父は忙しく、かまってくれなかったので、彼女は島を探検することにした。そして、ある白夜の夜に島にはいなくなったはずのホッキョクグマに出会う。

 動物好きの彼女はおなかをすかせてやせ細ったそのクマに食べものを与えるために会っているうちに心が近づいていった。そしてふるさとや仲間から離れて、ひとりぼっちでくらしているクマを助けるために彼女はある行動に出る。

 温暖化が2倍の速度で進んでいる北極で住むところを奪われているホッキョクグマたちのために、地球に住むわれわれに何ができるのか。物語の中でエイプリルが取った勇敢な行動に学び、小さなことからでも何かを変えることができると信じ、一歩をふみ出すことが大切だと思う。【ちいさいおうち書店店長 越高一夫さん】

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 ハンナ・ゴールド作、田中奈津子訳、静山社、2035円、小学校高学年から

「神の蝶、舞う果て」

 ラシェラン国の「闇の大井戸」と呼ばれる巨大な穴からは数か月に一度「神の蝶(ちょう)」の群れが出てきて、食料となる植物の受粉をしてくれる。ただし、すぐ後からこの蝶を食う「蝶の影」も出てくる。主人公のジェードは「蝶の影」を退治する「降魔士(カタゼリム)」の一人だが、ペアを組むルクランは、自分でも知らない大きな謎を抱えているらしい。やがて異変が起こり湖に黒い巨大な花が現れ、謎が解き明かされていく。

 雑誌連載に手を加えた、神と魔物、光と闇をめぐるダイナミックな異世界ファンタジー。【翻訳家 さくまゆみこさん】

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 上橋菜穂子著、講談社、1980円、中学生から

 ■「しゅんしゅんブタくん」

 ブタくんは鼻水が止まりません。そこで鼻水を思いっきりすすったら、なんと自分ごと吸い込んでしまい、ブタくんは鼻だけの姿に! 予測不能のショッキングな事態に担任のオオカミ先生は大慌て。ブタくんを元の姿に戻すため、病院へ走ります。

 助けてあげようとする人たちをも巻き込みながら、状況はどんどん深刻に……。さらに、オオカミ先生の担任としての責任感と愛情、そして抗(あらが)いきれないもうひとつの衝動との心のせめぎ合いが複雑に絡み合い、ハラハラドキドキの展開から目が離せません。【丸善丸の内本店 兼森理恵さん】

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 昼田弥子(みつこ)作、楓(かえで)真知子絵、偕成社、1760円、4歳から
=朝日新聞2026年2月21日掲載