4月に刊行された「アームストロング 宙(そら)飛ぶネズミの大冒険」(金原瑞人訳、ブロンズ新社、税抜き2500円)の作者トーベン・クールマンさん(34)=写真=が来日した。約30言語に翻訳された「リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険」の第2弾。果てしなく大きい宇宙を目指すネズミの挑戦が描かれている。
望遠鏡で夜空を観察するネズミが、月は地球を回る衛星であると発見した。でも、他のネズミは「月は大きいチーズだ」と信じて疑わない。そんな時、米ワシントンのスミソニアン博物館から、ネズミに手紙が届く……。物語は、ここから展開していく。
クールマンさんは「空の次は、もっと遠くまでと宇宙の話を考えた」と話す。ネズミは失敗を繰り返しながらも諦めず、工夫を重ねて月を目指していく。
ドイツ生まれのクールマンさんは大学でイラストレーションとコミュニケーション・デザインを学び、卒業制作として描いた「リンドバーグ」で絵本作家デビューをした。「アームストロング」は117ページと絵本にしては長編だが、水彩画で描く迫力満点の美しい絵に引き込まれる。
クールマンさんは「このネズミのように周りに流されず、自分の道を信じて新しいことに挑戦していくことが大事」と読者にメッセージを送った。(及川綾子)=朝日新聞2017年5月27日掲載
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