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新書ピックアップ(朝日新聞2018年6月2日掲載)

吉川徹著『日本の分断』

 計量社会学者の著者は、団塊の世代の退出を機に新しいタイプの分断社会が到来するとみる。現役世代を1975年を区切りに生年で分け、ジェンダー、学歴の区分と合わせて八つに分類。若い非大卒男性が経済的にも文化的にも苦しく、有効な施策も提示されていないと指摘。地域社会や介護労働などを担っていく彼らを、レッグス(Lightly Educated Guysの略)と呼び、軽快な人生の選択肢として積極的な意義づけを試みる。(光文社新書・929円)

黒川祥子著『県立! 再チャレンジ高校』

 教員が最短で異動したいと願うほどすさんだ学校だったある高校。だが、「関心・意欲・態度」を選抜基準とする新制度「再チャレンジスクール」に選ばれ、大人にとっての「困った生徒」が実は「困っている生徒」だと発想を転換、学校改革に取り組んでいく。困難を抱えた生徒に寄り添い支援する、教師たちの奮闘を描いたルポ。(講談社現代新書・950円)

坂井建雄著『世界一美しい人体の教科書』

 人間の体を形づくる臓器や器官の内部をミクロに見ていくと、美しい神秘の世界が広がっている。電子顕微鏡や光学顕微鏡で撮影し、染色・着色された写真を多数収録。消化器や呼吸器、泌尿器などの8章に分け、解剖学者がそれぞれの働きを解説する。(ちくまプリマー新書・1080円)

芳沢光雄著『リベラルアーツの学び』

 様々な問題について複合的な視点から解決を目指すリベラルアーツ。古代ギリシャからローマ時代に起源を持ち、職業教育に対比する「自由人に対する教育」として、文法、修辞学、論理学、算術、天文学、幾何学、音楽の「自由七科」から始まった。桜美林大学リベラルアーツ学群で教授を務める著者が、自身の専門である数学の見方や思考を生かした授業を紹介しながら、現代社会の複雑な課題に立ち向かう発想や知恵の重要性を説く。(岩波ジュニア新書・929円)