「明仁天皇と平和主義」書評 「天皇にならざるを得ない」立場の少年
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2015年08月23日
明仁天皇と平和主義 (朝日新書)
著者:斉藤 利彦
出版社:朝日新聞出版
ジャンル:新書・選書・ブックレット
ISBN: 9784022736260
発売⽇: 2015/07/13
サイズ: 18cm/237p
明仁天皇と平和主義 [著]斉藤利彦
今年の全国戦没者追悼式の「おことば」に、天皇陛下は「深い反省」という言葉を盛り込んだ。日本が国際連盟を脱退した1933(昭和8)年に生まれ、天皇の神格化が進む中で、「天皇にならざるを得ない」立場に生まれた少年が、どのような人生を歩み、現在に至ったのかをたどる。
「帝王学」という名の下で体罰も受け、涙した小学生の頃。敗戦後、米国人のヴァイニング夫人が家庭教師となり、自発的に行動できる自主性が育まれた。そして「美智子妃という伴侶を得たことの意味はきわめて大きい」。「国民と共に歩む」という理念を持ち「平和への貢献」を担う「象徴天皇」誕生を支えた、2人の女性の存在にも改めて注目する。
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朝日新書・821円