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「暴力と差別としての米軍基地」書評 沖縄を考えるための手がかり

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2015年01月11日
暴力と差別としての米軍基地 沖縄と植民地−基地形成史の共通性 (未来への歴史) 著者:林 博史 出版社:かもがわ出版 ジャンル:社会・時事・政治・行政

ISBN: 9784780307382
発売⽇:
サイズ: 20cm/175p

暴力と差別としての米軍基地 沖縄と植民地 基地形成史の共通性 [著]林博史

 国外に約700カ所ある米軍の基地ネットワークは、米国や英仏などの植民地を利用して作られた。プエルトリコ、キューバのグアンタナモ、マーシャル諸島などで住民を強制退去させ、基地を建設した「植民地主義的」で「人種主義的」な歴史をたどり、その典型例が沖縄だと著者はいう。沖縄での女性に対する性暴力の実態も検証した。
 グリーンランドでは、米政府の意向を受けて、本国のデンマーク政府が住民を強制退去させ、米軍基地が建設された。沖縄を連想させるが、グリーンランド自治政府は昨年、先住民の強制排除など、人権侵害を調査する委員会の設立を表明したという。沖縄の今後を考えるための手がかりが詰まった一冊。
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かもがわ出版・1836円