1. HOME
  2. 書評
  3. 中村和恵「日本語に生まれて」書評 世界の周縁で本を探す

中村和恵「日本語に生まれて」書評 世界の周縁で本を探す

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2014年01月26日
日本語に生まれて 世界の本屋さんで考えたこと 著者:中村 和恵 出版社:岩波書店 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション

ISBN: 9784000242998
発売⽇:
サイズ: 20cm/221p

日本語に生まれて 世界の本屋さんで考えたこと [著]中村和恵

 ドミニカ島の雑貨店兼本販売所、南太平洋諸島、インド、オーストラリア、エストニア……世界の周縁を「本屋さんはどこですか」と聞きながら歩き回った。それは日本語を問い直す旅でもあった。
 大量の外国語書籍が母語に翻訳され、家でも大学でも、本も学問も母語だけで何とかなる日本は、世界を見渡すと、実は当たり前ではない。著者は「第三世界」出身の人々に、「どうして日本人はそんなにうまく(近代化を)やれたんだ。おれたちはできなかった」と聞かれるという。電子書籍、本屋の未来——世界を歩きながらも、日本の言語文化に「妙な未練のような感情を抱えてしまった」著者が、やわらかな言葉でつづる旅。
    ◇
 岩波書店・1995円