「キノコ切手の博物館」書評 鮮やかな美術書のような味わい
評者: 三浦しをん
/ 朝⽇新聞掲載:2013年12月22日
キノコ切手の博物館
著者:石川 博己
出版社:日本郵趣出版
ジャンル:趣味・ホビー
ISBN: 9784889637588
発売⽇:
サイズ: 21cm/126p
キノコ切手の博物館 [著]石川博己
40年近くも「世界のキノコ切手」を収集しつづけている著者による、キノコ愛&切手愛あふれる本。キノコをモチーフにした各国の切手が、フルカラーで紹介される。
著者は、実物のキノコを野山で観察するのも大好きなのだそうだ。実感に基づき、切手に登場するキノコを親切かつ丁寧に解説してくれる。本書の隅々まで神経が配られていて、色鮮やかなキノコ切手を、図鑑のようにも美術書のようにも味わえた。「こんなに奥深く楽しい趣味があるのか」と、キノコ切手収集の道に覚醒してしまいそうだ。
いや、著者の情熱を、「趣味」の一言で片づけていいのか? 自身のコレクションに抜けがあることに気づいた著者は、「慢心していたわけでもなかったのですが」と内省するのだった。趣味であるはずの切手収集が、ほとんど修行の域に達している!
だれかの情熱に触れると、なぜかひとは幸せを感じる。眺めるうちに笑顔になった一冊だ。
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郵趣サービス社・1680円