1. HOME
  2. 書評
  3. 鳥肌をたてて読むべき小説

鳥肌をたてて読むべき小説

青い花 著者:辺見 庸 出版社:角川書店 ジャンル:小説・文学

価格:1728円
ISBN: 9784041104620
発売⽇:
サイズ: 20cm/179p

あいつぐ大震災と戦火で、恋も家族も未来も、すべてをうしない鉄路を彷徨う男。ただ欲しいものは、あの青いものすごいクスリ。哄笑、恐怖、愛、虚無…が卍ともえにからみあう、現代黙…

評者:朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2013年07月28日

青い花 [著]辺見庸

 「わたしはあるいている」。故郷の東北の線路沿いを独りで歩いている。「妻は死んだのだ。父も母も死んだのだ。子どもたちも死んだのだ。犬も死んだのだ。友だちもずいぶん死んでしまった」。なぜなら「震災と戦災がかれらを殺した」から。
 「わたし」が求めているものは、恋しい女、幻の青いコスモス、そして、すごいクスリ。「安心安全とコンプライアンス&PC相互監視」の「ニッポン」で、わたしは考える。滑稽で無意味でグロテスクな世界を覆うあらゆる厄災に怒り、呪いの言葉をこれでもか、これでもかとまき散らす。
 そこにある現実と真実に、鳥肌をたてて読むべき小説。この参院選の後では、ことさらに。
    ◇
 角川書店・1680円