沼野充義「世界文学から/世界文学へ」書評 20年間の日本文学の歩み
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2012年11月04日
世界文学から/世界文学へ 文芸時評の塊1993−2011
著者:沼野 充義
出版社:作品社
ジャンル:小説・文学
ISBN: 9784861824029
発売⽇: 2012/10/01
サイズ: 21cm/506,16p
世界文学から/世界文学へ [著]沼野充義
著者は東京大教授、意外にも初めての文芸時評集。1993年から2011年にかけて新聞や文芸誌で掲載したものをまとめた。90年代は、今はなき文芸誌「海燕」を舞台に、大江健三郎『燃えあがる緑の木』、松浦理英子『親指Pの修業時代』、吉本ばなな『アムリタ』などを取り上げる。00年代には、金原ひとみ『蛇にピアス』、中村文則『遮光』といった、若い才能との出会いを喜ぶ。村上春樹は初期の短編「レーダーホーゼン」から、最新の『1Q84』まで折々に。「日本文学を常に世界文学の中に位置づけて読もうとしてきた」というロシア・東欧文学者の著者に導かれながら、20年間の日本文学の歩みにたっぷりとひたる。
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作品社・3990円