「仲代達矢が語る 日本映画黄金時代」書評 当事者ならではのエピソード
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2013年03月10日
仲代達矢が語る日本映画黄金時代 (PHP新書)
著者:仲代 達矢
出版社:PHP研究所
ジャンル:新書・選書・ブックレット
ISBN: 9784569804187
発売⽇:
サイズ: 18cm/261p
仲代達矢が語る 日本映画黄金時代 [著]春日太一
年若い時代劇研究家の著者を相手に、80歳の仲代が映画人生を回想する。「人間の條件」の小林正樹から黒澤明、木下恵介、成瀬巳喜男……。起用された監督もすごいが、高峰秀子、原節子ら、共演した女優の顔ぶれもすごい。1年の半分を舞台、半分を映画と分け、いわば二重にキャリアを重ねた俳優の、苦労話でも自慢話でも暴露話でもない冷静な回顧が、日本映画黄金期の現場の熱気を伝える。「椿三十郎」での大出血シーン、中村錦之助にチャンバラの極意を教わる、など当事者ならではのエピソードも。スクリーン上では知的でシャープな印象だが、本当は人間がぼんやりしているので、あだ名が「モヤ」だというのは意外だ。
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PHP新書・819円