1. HOME
  2. 書評
  3. オマージュあふれる本自体がアート

オマージュあふれる本自体がアート

ビターズ2滴半 村上三郎はかく語りき 著者:坂出 達典 出版社:せせらぎ出版 ジャンル:芸術・アート

価格:2674円
ISBN: 9784884162115
発売⽇:
サイズ: 21cm/179,143p

「具体美術協会」の中でもひときわ異彩を放った前衛美術家・村上三郎。彼の残した言葉を通し、村上美学・哲学を紡ぎ出す。表紙・裏表紙にパフォーマンス「紙破り」が追体験できるしか…

評者:朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2012年08月26日

ビターズ2滴半 —村上三郎はかく語りき— [著]坂出達典

 村上三郎(1925〜96)は、関西で活発だった具体美術協会に属した美術家で、「紙破り」のパフォーマンスで知る人ぞ知る。著者が兵庫県西宮市でバーを開いて間もなく村上は常連客になり、キリキリ冷やしたジンを飲み、おとなしくすごしたり、周囲で騒がしく芸術論が戦わされるとビール瓶をガチャンと割ったり、「エエのん決まってるやん」とつぶやいたり……。無意味であること、目的ではなく過程に価値があること。著者は村上の言行から芸術の根底にある「生きること」への肯定を受け取っていく。村上へのオマージュあふれる本自体がアート。表紙が「紙破り」キットになっていて、後ろから開くと英語版なのだ。
    ◇
せせらぎ出版・2600円