「童の心で―歌舞伎と脳科学」書評 科学と芸能の精髄を語り合う
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2012年05月06日
童の心で 歌舞伎と脳科学
著者:小泉 英明
出版社:工作舎
ジャンル:芸術・アート
ISBN: 9784875024446
発売⽇:
サイズ: 22cm/280p
童の心で―歌舞伎と脳科学 [著]小泉英明・市川団十郎
片や世界的脳科学者、片や歌舞伎の市川宗家12代目。2人は、明治の三陸大津波の孤児救済が発端で東京・世田谷に開設された「コドモの園幼稚園」で、ほぼ50年前に同窓だった幼なじみ。それぞれ相手の仕事に敬意を払いながら、科学と芸能の精髄を語り合う。2009年、パリに続いてモナコで歌舞伎公演をし、「鳴神」を演じたら半年くらい雨のなかったモナコで豪雨になったというのが面白い。「紅葉狩り」の習慣がない欧州で、どういうふうに日本の感性を伝えるかと団十郎。これからの脳科学は「感性」を正確に理解することが大事な役割、と小泉。演目の解釈や役のハラ、芸道精進など不思議なまでに歌舞伎と脳科学が響きあい、興味尽きない。
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工作舎・2520円