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「セナvsプロスト-史上最速の“悪魔”は誰を愛したのか!?」書評 クルマが輝いていた時代

評者: 辻篤子 / 朝⽇新聞掲載:2010年09月05日
セナvsプロスト 史上最速の“悪魔”は誰を愛したのか!? (サンエイムック) 著者:マルコム・フォリー 出版社:イデア ジャンル:趣味・ホビー

ISBN: 9784779609794
発売⽇:
サイズ: 21cm/367p

セナvsプロスト-史上最速の“悪魔”は誰を愛したのか!?[著]マルコム・フォリー 

 F1史上最高のドライバーといわれ、日本でも絶大な人気を博したブラジル人レーサー、アイルトン・セナがレース中の事故で亡くなって16年になる。
 熾烈(しれつ)なチャンピオン争いを繰り広げたライバルのフランス人レーサー、アラン・プロストのインタビューを交え、2人がたどった足跡と確執を、英国のスポーツ記者がたどっている。
 2人の車はレース中に何度も接触し、互いを非難し合った。そこから浮かび上がるのは、勝利にかけるセナのすさまじいまでの執念だ。
 「勝つためには何でもする」中での技術へのこだわりは、エンジンを担当したホンダの技術陣との間に、強い絆(きずな)を生んだ。その結果が、ホンダエンジンを駆っての通算3度、歴代4位タイとなる世界チャンピオンだ。
 1990年前後、確かに、ホンダとセナの時代だった、と思う。向かうところ敵なし、そんな日本の技術があり、その心意気に応えて自らの能力の限界にも挑戦する若者がいた。
 クルマという20世紀最大の工業製品が輝いていた時代。すぐれて20世紀的な挑戦の記録、といえようか。
 辻篤子(本紙論説委員)
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 五十嵐哲訳、イデア・2310円