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アイデアは記憶の中の組み合わせ

『テレ東のつくり方』 [著]大久保直和

 「ガイアの夜明け」など、ユニークな経済番組で知られるテレビ東京。その番組制作の舞台裏を紹介したのが本書だ。著者は同局のチーフ・プロデューサー。
 新番組を立ち上げ、各回のアイデアを出し、企画書を練って会議を通した後に取材班を編成して現場撮影。これをVTRにまとめ、最後は新聞のテレビ欄などに載せる紹介文を書いてからオンエア。これら一連のプロセスは「いちテレビ番組作りの枠を超えて、他の業界の人たちにも相通じるテーマ性があるのではないか」と著者は述べる。
 中でも重要なアイデアは突然閃(ひらめ)くものではなく、日頃折に触れて自分の記憶の引き出しに入れておいた要素、知識を組み合わせることで生まれる。たとえば中国農村からの出稼ぎ少女と、トヨタの中国進出を組み合わせ、2002年、勃興期の中国経済を俯瞰(ふかん)する番組は好評を博した。
 他方、制作者側が速報性にこだわって視聴者を置き去りにすると視聴率は振るわない。最新ネタが時機を逸するリスクがあっても、一旦(いったん)寝かせてタイミングを見計らって提供する方が好結果を生む。また番組の紹介文では、書き手が自分に酔った言葉は視聴者に響かないという。=朝日新聞2018年7月7日掲載