「SNSカウンセリング入門」書評 対面・電話とは違う技術が必要
評者: 宮田珠己
/ 朝⽇新聞掲載:2018年07月14日
SNSカウンセリング入門 LINEによるいじめ・自殺予防相談の実際
著者:杉原 保史
出版社:北大路書房
ジャンル:社会・時事
ISBN: 9784762830211
発売⽇: 2018/05/30
サイズ: 19cm/168p
SNSカウンセリング入門 LINEによるいじめ・自殺予防相談の実際 [著]杉原保史、宮田智基
今の中高生は電話を使わない。もし彼らが悩みを相談したいと思ったら、SNSのほうがアクセスが簡単で、匿名性も保たれるから利用しやすい。卓見だ。
本書では、LINEを使った相談事業の長野県の事例をもとに、SNSによるいじめや自殺予防カウンセリングの実際の様子と、必要なノウハウを紹介する。
SNSの場合、複数の相談員が協力しながら対応できる、記録が残る、履歴が参照しやすいといった利点がある一方で、非言語情報が得にくいなどの欠点がある。そのため電話とは違った技術が必要になる。
とくに強調されているのは、従来以上に積極的関与が求められることだ。対面の相手なら相槌を打つだけで伝わるものが、SNSでははっきり言葉にしないと伝わらないのだ。返答までのタイムラグも、考えているのか離脱したのか見えない難しさがある。
今後この分野はますます重要性が増すだろう。先駆的実践の書だ。