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新書ピックアップ(朝日新聞2018年8月11日掲載)

『古生物学者、妖怪を掘る』

 化石の断片から絶滅した生物や環境をよみがえらせる手法を応用して、古い文献に記された妖怪や怪異の正体に迫ろうという試み。著者は「妖怪古生物学」と呼ぶ。自然界では植物食の動物ばかりが持つ角が人を食う鬼のシンボルなのはなぜか。一つ目巨人の伝説と絶滅生物の化石の関係は。「荒俣宏妖怪探偵団」で各地を歩いた著者が科学の魅力へいざなう。
 ★荻野慎諧著 NHK出版新書・842円

『逃げられない世代』

 著者は、1981年生まれの元経済産業省キャリア官僚。日本社会は、社会保障制度を支えきれなくなる財政、安全保障をめぐる国際環境の変化といった課題を、「先送り」してきた。そこには先送りを可能にする仕組みや条件があったと読み解き、団塊ジュニアが高齢者になる2030年代には限界を迎えると予測。その先に「私たちはどう生きるか」を考える。
 ★宇佐美典也著 新潮新書・864円

『K―POP 新感覚のメディア』

 いまや世界を視野に入れた一大文化産業になっているK―POP。韓流ブームは去っても、BTS(防弾少年団)、EXOといったアイドルグループは、完成度の高い音楽とパフォーマンスで若い世代に熱狂的な支持を受ける。歌謡からの転換、大手事務所の軌跡や契約問題、多国籍グループTWICEの登場などを追い、新たな社会現象を考察する。
 ★金成玟著 岩波新書・907円

『はじめての経済思想史』

 経済学の歴史を「よいお金儲(もう)け」という視点から描いた入門書。資本主義に必要な道徳的条件を考察したアダム・スミス以後、J・S・ミルとマーシャル、ケインズ、マルクスといった経済学者を、富の所有者が主役から降りていく流れとして捉える。市場重視の経済観に基づく現在の「常識」を作り出したハイエク、フリードマンは「本流ではない」として、スミスへの回帰に資本主義の未来を見る。
 ★中村隆之著 講談社現代新書・907円