「ゴミを入れれば真理(ゴスペル)が出てくる」。入力するデータの質を考えずに、コンピューターが導き出す結果をうのみにする傾向を、アメリカの経済学者の著者はそう表現する。
もとになるデータは「適切」か「ゴミ」か、分析結果は「まとも」か、まともに見えるが「でたらめ」か。見抜き方を数多くの事例をあげて示す。
人類の祖先は森羅万象の中にパターンを見つけては意味を考え、生き延びてきた。そのため、人間は「パターンとそれを説明する理屈の魅力に簡単に屈してしまう」。
例えば、「送電線の近くに住んでいる子どもはガンになる」。がんの発病はランダムであっても、地図上にがん患者の家を入力すれば、「かたまり」ができる。その近くにたまたま送電線があったことからでっちあげられた理論で、でたらめ。「射撃の下手な男が納屋の壁に向かって大量に撃って、銃弾のあとがかたまっているところに的を描いた」のと同じだと。「テキサスの狙撃兵の誤謬(ごびゅう)」と呼ぶ。
注目すべきは、でたらめを見抜く方法として、「常識」が強調されていることだ。常識も人々に埋め込まれた共通の暗黙知。政府の統計不正が問題になっている今だからこそ、常識の力が問われる。=朝日新聞2019年3月9日掲載
編集部一押し!
-
あなたに贈る本 小説家の諸田玲子さんが薦める3冊 若者たちへ いま手にとってみてほしい本 朝日新聞社
-
-
ミュージシャンたちの読書メソッド cero高城晶平さんが選ぶ5冊 スピノザからベンヤミンに誘われ、ありえた世界の可能性を求めて 李恩知
-
-
マンガ今昔物語 奥浩哉が原点の「リアルな性転換」に改めて向き合う「還暦姫」(第156回) 伊藤和弘
-
インタビュー 「本とは何か」美学者・難波優輝さんインタビュー「読んでいないときが、実は一番読めている」 阿部花恵
-
朝宮運河のホラーワールド渉猟 “可愛い怪物”に操られる人たち 阿泉来堂さんの侵略ホラー「忌み児の町」インタビュー 朝宮運河
-
今、注目の絵本! 「絵本ナビプラチナブック」 絵本ナビ編集長おすすめの新刊絵本11冊は…? 「NEXTプラチナブック」(2026年5月選定) 磯崎園子
-
トピック 【PR 光文社・創英社・みすず書房・ミネルヴァ書房】プレゼント 朝日新聞1面広告の本、好書好日メルマガ読者計20名様に
-
コラム 「海をわたる言葉 翻訳家ふたりの往復書簡」中江有里さん書評 出逢いの不思議が生んだもう一つの〝家族〟 PR by 集英社
-
トピック 【プレゼント】柄谷行人さん最新作「私の謎 柄谷行人回想録」好書好日メルマガ読者10名様に PR by 講談社
-
インタビュー 平石さなぎさん「ギアをあげて、風を鳴らして」インタビュー 描いてわかった「シスターフッド小説」の魅力 PR by 集英社
-
インタビュー 江國香織さん「外の世界の話を聞かせて」インタビュー 頭の風通し良く、気持ちさっぱり自由になって PR by 集英社
-
インタビュー 【サイン入り本プレゼント】一木けいさん「嵐の中で踊れ」インタビュー 避難所で起きた再生の群像劇 PR by NHK出版