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新書ピックアップ(朝日新聞2019年3月23日掲載)

『さまよう遺骨』 

 故人を弔い先祖代々の墓に葬るという従来の葬送を、いまや縮小した家族が担いきれなくなってきた。さまざまな理由で引き取り手のいない「無縁遺骨」や急増する「墓じまい」……。民間ビジネスや自治体のサービスも登場した。老いや死を支えきれなくなった現場を取材し、新たな弔いのかたちを、海外事例を含めて紹介する。
★NHK取材班著 NHK出版新書・842円

『京大的アホがなぜ必要か』

 副題「カオスな世界の生存戦略」。自然界も社会も予測不可能なカオスであり、そこで重要なのは常識的なマジメと、非常識なアホとが互いの存在を認め合う多様性だという。著者は「京大変人講座」を主宰する京大教授(専門は地球流体力学)。京大に入学したばかりのころ、先生から「アホなことせい」と言われて面食らった経験を持つ。とりわけ近年、大学において「役に立つ」学問ばかりを求めるようになっている危うさを指摘。研究の醍醐味は、アホな知識が相転移してマジメな知識に結晶する瞬間に遭遇すること、という。
★酒井敏著 集英社新書・929円

『言語学講義』

 広範な学問領域を拓(ひら)いてきた言語学も、AI時代の変化や、亡(ほろ)びる言語の問題など、転換点に立っている。多岐にわたる全体像や、基本の構造を俯瞰(ふかん)し、言語学の現在の問題点を照射する。著者は北大教授。言語政策や日本における英語の早期教育の是非など、言語学の視点から言語を捉えなおす指摘も。
★加藤重広著 ちくま新書・972円

『志ん生が語るクオリティの高い貧乏のススメ』

 著者は志ん生の孫。志ん生の25の習慣を紹介し、エピソードをつづる。「長寿なんかに執着しちゃいけないよ」「ヨイショする人生はつまんねえよ」「道楽を持つと、苦しいときに踏ん張りが利くよ」「自分でケリをつけられるなら、逃げてもいいんだよ」……。昭和人の底力は志ん生の生き方によく表れている、と著者はいう。
★美濃部由紀子著 講談社+α新書・907円