「フクロウの家」書評 フクロウファンには手放せない書
評者: 保阪正康
/ 朝⽇新聞掲載:2019年04月13日

フクロウの家
著者:トニー・エンジェル
出版社:白水社
ジャンル:動物学
ISBN: 9784560096758
発売⽇: 2019/02/01
サイズ: 22cm/277,7p
フクロウの家 [著]トニー・エンジェル
私はフクロウを見るのが好きだ。パラボラアンテナのような顔に大きな目が光っている。著者もフクロウに取り憑かれたという。
フクロウの歴史は中新世まで遡れる。生き延びてきたのは、白昼、他の肉食鳥との競合を避け、比較的暗い中でも活動できる能力をもつためという。217の種がいるが、餌の調達と繁殖の環境さえ確保できれば生息できない地はほとんどないと著者は記している。
その寿命は種によって異なり、温暖な地域に生息するメンフクロウには34年生きた例がある。人間と共に生息する種もいれば、北極圏でツンドラ地帯にのみすむ種もいる。
環境保全活動を行っている著者の調査は詳細だ。作家、画家、彫刻家としても活動しており、その側面が生きている。多くの頁(ページ)にフクロウの細密画が掲載されていて、フクロウファンには手放せない書である。
「フクロウは単に本能だけの生き物ではない」との言に、読者は納得するであろう。