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BLラバーの書店員が語る! 「わたし、これがきっかけでBLにハマりました」

BLの魅力をド直球で伝えてくれた“わかば荘”の住人たち(井上將利)

 僕の場合、ある日突然BL担当を命じられ、作品との偶然の出会いよりも先に環境が整備されるという不思議な流れを経て今にいたります(結果、現在は楽しくお仕事させて頂いてます〈笑〉)。
ですので“きっかけ”とは少し違うかもしれませんが、当時「はてさてBLとは……」という迷子状態だった僕にド直球で魅力を伝えてくれた思い出深い作品をご紹介したいと思います!

 羽生山へび子さんの「晴れときどき、わかば荘」シリーズ(大洋図書)は、小料理屋の女装ママが管理人をしている路地裏アパート「わかば荘」を舞台に、住人たちのエピソードがオムニバス形式で描かれた作品。天真爛漫でやんちゃな高校生、仕事漬けの疲れたリーマン、そして輝かしい過去を持つ元ジョッキーなどなど、個性的な住人たちが登場します。それぞれのエピソードは独立しつつも住人たちは皆仲良し。勝手気ままに小料理屋「わかば」にご飯を食べに来るのでお店はいつも賑やかで、そんな住人同士が絡むシーンも微笑ましくアットホームで和みます。

「晴れときどき、わかば荘 あらあら」(大洋図書)より ©︎羽生山へび子/大洋図書

 また、僕が「良いな~」と感じる作品に共通する要素として“登場人物への共感や興味が抱けるか”という視点があって、そういった感情が登場人物への愛着にも繋がると思うんです。
その点、僕にとって本作は、登場人物全員のことを「コイツ好きだな~」と思わせてくれて、子供も大人も関係なく、とにかくキラキラしていてそれぞれの青春を謳歌している姿が最高にカッコイイんです!

 僕にとってBLの世界を広げるきっかけになったこの作品。
 このまま各エピソードの魅力を掘り下げたいところなんですが、この作品に関してはネタバレなしでまず読んでみて欲しい!
 作者の魅力や作風が存分に味わえる“わかば荘”の住人たちが温かく迎えてくれるはず♪

おじさんBLへの扉がオープン! いろんな葛藤を抱えた恋愛がツボ(キヅイタラ・フダンシー)

 「BLことはじめ」にて連載させていただいて、早1年だそうです。毎月どの作品を推すか悩みながらですが(笑)、 こんなに長くこの場をいただけていることに感謝です……!! 今回のテーマは「わたし、これがきっかけでBLにハマりました」ということで、BLというか“おじさんBL”にハマることになった、こちらの作品を紹介したいと思います!

 カサイウカさん「両想いなんて冗談じゃない!!」(プランタン出版)

 神田時造は親友の芝隆次に25年もの間、片思いを続ける42歳。自分の気持ちは秘めたまま、芝に彼女ができても、結婚しても、「恋も愛もいらない、親友として側で支えられれば、そういう一生も悪くない」と覚悟を決めてしまっている、こじらせたおじさんです。久々に芝から飲みに誘われて行ってみると、「離婚した」と突然の爆弾発言。しかも、家を追い出されて実家にも帰れないから時造の家に住まわせて欲しいというのです。頼りにされると断れない時造は、結局芝との同居を受け入れ、挙句には気合いの入った朝ごはんまで用意してしまう始末。そんな暮らしが始まって少し経ってからの休日、芝は時造を鉄板デートコースへ連れ出し、さらにはキスをしてきて……つまりまさかの両想いで!?というお話。

「両想いなんて冗談じゃない!!」(プランタン出版)より ©カサイウカ/プランタン出版 2014

 42歳のおじさん同士が25年の時を経て付き合うということ、単純ではないですよね。数年ぶりに再会して恋に落ちる……という話は割とある気がしますが、25年という長さがこの作品を面白くしているポイント! 時造にとっては一目惚れしてからずっと片思いをしてきた相手が、ついに自分の方を向いてくれたことは喜ぶべきことのはずですが、芝には恋心を気づかれていないと思っていたし、彼が決めてしまった覚悟はそう簡単に揺らぐものではなくパニック状態に。芝もじっくり時間を掛けて絆されてしまったものの、42歳にして男同士の恋愛に踏み切るのも探り探り。そんなおじさん2人のこじらせ過ぎてもだもだしている姿に、なぜか可愛らしさを感じてしまう不思議! キラキラさの微塵もない見た目の中年男性2人が本気で気持ちをぶつけ合っているシーンはニヤニヤしつつも、お互い素直に一途な感情をさらけ出していてキュンとしてしまいました。これまで築いてきた関係・環境、プライドなど、いろいろと葛藤しながら恋愛に発展していくストーリーが僕のツボなんだと思います(笑)。

 さらにこのお話に欠かせない重要なキャラクター、時造の事務所で働くバイトの宇田くん(事情は把握済み)がすごくいい味出してます(笑)。時造の恋の行く末を面白がっているようで、実は彼女と一緒に応援してくれていたり、2人の間をさり気なく取り持ったりしてくれるのですが、ツッコミがいちいち面白くて笑わせてくれます。3人の掛け合いのテンポが本当に絶妙で、今まで読んだラブコメ漫画の中でも特に好きなキャラクターたちです! コミックス巻末に収録されている描きおろし作品「冗談じゃ…なくもない」では、50歳になった2人や宇田くんの暮らしも垣間見ることができてホクホク(笑)。

 いい感じに熟した大人の男同士の恋愛ならではの独特な良さにハマること間違いなし!な作品だと思います。ぜひおじさんBLの扉を開くきっかけにしてください♪

いま読んでも面白い! 私の好きな古のBL作品(貴腐人)

 今回のお題は「わたし、これがきっかけでBLにハマりました」……。困った……。
 ハマったきっかけは二次創作の同人誌なので、それは出せませんしねぇ。商業BLでハマった作品の紙本は絶版、電子書籍化もされていないのでこちらも出せません。

 という訳で現在、電子書籍で配信されている古い作品の中から、好きな作品を選びました! よしながふみさんの「1限めはやる気の民法」(リブレ、全2巻)です!(テーマが変わったけど、しゃーない。古の腐女子だから) ※ちなみに本作が最初にコミックス化されたのは1998年7月です(by「BLことはじめ」編集担当)。

 お坊ちゃま大学に外部入学し、刑事訴訟法を学ぶために3年から龍本ゼミに入った田宮健介は、歓迎コンパで、大物政治家の息子・藤堂貴明に出会う。
 まじめな田宮に対して超チャラい藤堂とは水と油。最初は反発しあっていたけど(田宮が一方的に)、お互いの本質が見えてくると仲良くなるんですね。

「1限めはやる気の民法(1)」より ©よしながふみ/リブレ

 1巻はキャンパスライフで起こる出来事を通して恋愛に至る2人の友情を描いているので、恋愛要素は薄いです。でも、恋愛要素は薄くても面白いんです!
 酔った勢いで代理講師にキスされ意識しちゃう田宮とか、藤堂の親子関係がうまくいってない件とか、女友達のヌード写真投稿事件とか、就活問題とか、卒業レポート代筆の怒り心頭事件とか、卒業したと思ったら田宮は大学院に進み、藤堂は理工学部に入り直したりとか、様々な人間模様が展開されます。

 1巻は友情以上恋愛未満ですが、2巻は同棲してます! 恋愛要素満載です! その分、エロいシーンも多いです。2巻の2人は、よしながさんの「きのう何食べた?」のシロさんとケンジの原点のような気がするんですよね。
 恋愛要素満載の一翼を担う藤堂の弟も出てきます。チャラいのに要領の悪い兄に対して優秀で要領と外面のいい弟。兄弟の対比も面白いし、恋愛事情も面白い。顔以外似ていない感じがするけど、2人とも根っこは似ていて情が深いんですよ。冷め切った面もあるけど現在の恋人(男)には誠実な兄弟。
 弟くん、人生の挫折はないけど、恋愛の挫折は兄より酷いかも。しかし兄弟2人とも男が恋人だから後継ぎはどうするんでしょうね。ちょっぴり藤堂家の地盤を心配しながらも結婚式には呼んでね~、という心境になりました。

 改めて読み直して、よしながさんは面白い! なんでこんなに面白いんでしょう。ジタバタしちゃうほど面白い! 私の駄文じゃ伝わらないので、とにかく読んでみてください!! 面白さは保証します!

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