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「三体」書評 中国人作家による壮大なSFの始まり

評者: いとうせいこう / 朝⽇新聞掲載:2019年09月21日
三体 著者:劉 慈欣 出版社:早川書房 ジャンル:小説

ISBN: 9784152098702
発売⽇: 2019/07/04
サイズ: 20cm/447p

【ヒューゴー賞長篇部門(2015年)】物理学者の父を文化大革命で亡くし、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔。ある日、彼女は謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこで…

三体 [著]劉慈欣

 以前にも中国人作家のSFを紹介した。今回の『三体』もSFで、シリーズ三部作が中国だけでも二一〇〇万部突破という話題作だ。
 それほどの小説をなぜもっと大きな欄で取り上げないのかと言えば、三部作がこれから次々と訳出されるからで、私のこの文などは御触書に過ぎない。
 大作の冒頭は、文化大革命でヒロイン葉文潔の父(物理学者)が受けた残酷な仕打ちから始まる。やがて地方へと下放される文潔はレイチェル・カーソンの『沈黙の春』に出会う。環境問題への視座が重要だ。
 ともかく文潔は自らの専門知識によって秘密の施設へと送られ、そこで超ド級のプロジェクトに参加することになる。
 中に出てくる奇怪なネットワークゲーム『三体』も、小説自体も長い時間を平気ですっ飛ばして進む。この時間感覚はこれまで味わったことのないもので、物語のまさかの展開のテンポにもその新鮮さがある。
 第二部で異星人は……?

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