子どもに嫌われたピーマンが涙をこぼしながらつぶやく。「ぼくも おかしに なりたいなぁ……」
「おかしになりたいピーマン」は、愛くるしいピーマンが子どもに食べてもらうため、お菓子に変身して奮闘する姿を描いた絵本だ。
作者の岩神愛さん(38)は絵本作家として活動しつつ、先月までの約6年は幼児教室で絵画工作の講師もしていた。その教室で、お弁当のピーマンを食べない3歳の男の子をみて、ピーマンが主役の絵本が生まれた。
男の子はピーマンを床に落としたり、ポケットに入れたり。毎回隠す場所を変え、食べてほしいと願う大人たちとの攻防が続いていた。少しでもピーマンに親しみを感じてほしいと、岩神さんは小さな絵本を作成。絵本を読んだ男の子は「かわいそう」と言い、その日はお弁当のピーマンを食べた。
このとき作った絵本を元に出版された絵本が話題を呼び、第2弾として、にんじんが主役の「おもちゃになりたいにんじん」が8月に発売された。
岩神さんは、次作も子どもに不人気な野菜が主人公の絵本を考案中。「食卓やお弁当で苦手なものが出てきたときに、絵本を思い出して『ちょっと食べてみようかな』と勇気を出すきっかけになれば」と話している。(矢田萌)=朝日新聞2019年10月26日掲載