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「心を支えるシェイクスピアの言葉」 人生の節々で思い出すセリフ

 「きれいは汚い、汚いはきれい」――「マクベス」の魔女たちがとなえる言葉だ。劇を見てから、人生の節々でこの言葉を思い出す。イケメンがしゃあしゃあとつくウソ、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった表情からのぞく愛、そんな場面にドラマや現実で遭遇するたびに、よみがえってくる。

 そんな深いセリフを紹介したのが河合祥一郎・東大大学院教授の『心を支えるシェイクスピアの言葉』。日本シェイクスピア協会会長で、「Kawai Project」を率いて劇の新訳、演出を担当。本書では全40戯曲とソネット集から110の言葉を選び、解説をつけた。「生き方に迷ったら」「恋愛に悩んだら」など、ジャンル別に、英語のセリフと共に列挙。巻末には作品のあらすじもある。

 「明けない夜はない」「終わりよければ、すべてよし」などの名句も登場。個人的にハハーンと思ったのは「恋はまことに影法師。追えば追うほど逃げていく」(ウィンザーの陽気な女房たち)。本を読んだら、劇でもセリフを味わいたい。(山根由起子)=朝日新聞2020年2月15日掲載