著者は東京・三田の園芸店の4代目社長。欧州で学んだ華道家、デザイナーでもある。
植物はか弱い? とんでもない、人間を凌駕(りょうが)した「超越的生命」だと主張する。長寿命、増殖、移動などの特性と、問題解決能力を備えた「知性」の持ち主であると。
園芸とはそんな彼らを「飼い慣らす」、持続性と気遣いに基づき人間のために最適化すること。「人は植物に対してもっと『不真面目』でいい」と提案する。極端な自然保護でも自然破壊でもない、可能性を探る。
古今の学者の言葉から漫画やSF、格闘技の話題までちりばめ、自身の実感から語る筆運びが心地よい。幼いころ、「自然になるようにいけてごらん」と助言され、「自然の自然さ」とは何か悩み、考え続けてきた人ならではの説得力がある。(藤生京子)=朝日新聞2025年12月20日掲載