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「男らしさの終焉」書評 「社会の弊害」からいかに脱するか

評者: 本田由紀 / 朝⽇新聞掲載:2020年03月14日
男らしさの終焉 著者:グレイソン・ペリー 出版社:フィルムアート社 ジャンル:社会・時事

ISBN: 9784845918300
発売⽇: 2019/12/25
サイズ: 19cm/204p

男性が変われば世界全体をより良い場所にできるはず。異性装者でもあるアーティストが、「権力・パフォーマンス・暴力・感情」といった男性性の4エリアを検討し、新しい時代のジェン…

男らしさの終焉 [著]グレイソン・ペリー

 人気歌手のテイラー・スウィフトは、新曲「The Man」のミュージックビデオで男装し、部下を威圧したり電車で股を開いて座ったりする男性を戯画的に演じている。それを見て、本書の「デフォルトマン」という言葉を連想した。
 デフォルトマンとは、英国における白人・ミドルクラス・異性愛の男性のことであり、無自覚なまま自分たちこそがあらゆる価値や文化の評価基準であるという攻撃的なメッセージを発している。その中心にある、強さや支配、競争を重視する「男らしさ」が、現代社会でいかなる弊害をもち、いかにそこから脱するべきかを著者は説く。
 著者は多くの賞を受賞したアーティスト・作家、テレビ番組のプレゼンター、ロンドン芸術大学の総長であるとともに、女装して別人格になることでも知られている。博識に裏付けられた軽妙な文章と、著者自身による魅力的なイラストにより、男性性の問題に鋭く切り込んでいる。